令和6年度 午後の部 問18
不動産登記法
所有権に関する問題
登記名義人の名称又は住所の変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 所有権の登記名義人が地上権の設定の登記の抹消の申請をする場合において、住所の変更により当該所有権の登記名義人の現在の住所と登記記録上の住所とが異なるときは、当該申請をする前提として、当該所有権の登記名義人の住所の変更の登記を申請しなければならない。
イ 仮差押えの登記がされた不動産について、当該仮差押えが本執行に移行してされる強制競売の申立てがされる前に仮差押債権者であるAの住所の変更があった場合には、Aは、当該不動産の仮差押債権者の住所の変更の登記を申請することができる。
ウ 甲不動産の所有権の登記名義人である特例有限会社が株式会社へ移行した場合には、甲不動産についてする所有権の登記名義人の名称の変更の登記の登記原因は、組織変更である。
エ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、AがBに対して甲土地の所有権移転登記手続をする旨の和解調書の正本を提供して、AからBへの所有権の移転の登記の申請をする場合において、住所の変更によりAの現在の住所と登記記録上の住所とが異なるときであっても、当該和解調書の当事者の表示にAの変更後の住所と登記記録上の住所とが併記されているときは、Bは、当該申請をする前提として、Aの住所の変更の登記を申請することを要しない。
オ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aの破産管財人Bが甲土地を任意売却し、所有権の移転の登記を申請する場合において、住所の変更によりAの現在の住所と登記記録上の住所とが異なるときは、Bは、当該申請をする前提として、Aの住所の変更の登記を申請しなければならない。
- 1アイ
- 2アオ
- 3イエ
- 4ウエ
- 5ウオ
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✓ これが正解4ウエ
解説
ウとエが誤り。特例有限会社の移行は商号変更、和解調書でも名変は省けない
登記名義人の名称や住所の変更の登記(いわゆる名変登記)について、どの場面で前提として必要になるか、登記原因は何かを、不動産登記法の規定と先例で判断します。
アは正しい記述です。登記義務者の住所が登記記録と異なるときは前提として変更の登記が必要ですが、先例は、所有権の登記名義人が抹消の登記の登記権利者として申請する場合にも、住所の変更の登記を前提として要するとしています。イは正しく、仮差押えの登記の仮差押債権者もその登記の登記名義人なので、登記名義人として住所の変更の登記を単独で申請することができます。ウは誤りです。特例有限会社が株式会社に移行する場合、所有権の登記名義人の名称の変更の登記の登記原因は商号変更とされており、組織変更ではありません。エは誤りです。和解調書に登記記録上の住所と変更後の住所が併記されていても、登記義務者の住所の変更の登記を省略することは認められず、前提として変更の登記を申請する必要があるとされています。オは正しく、破産管財人が任意売却する場合でも、登記義務者である破産者Aの住所が登記記録と異なるときは、前提として住所の変更の登記を申請しなければなりません。
したがって誤っているのはウとエで、ウとエを選ぶ組合せが正解です。
判決や和解調書による登記でも名変登記は省けない、省けるのは登記名義人の同一性が登記記録から確かめられる限られた場面だけ、と原則の側から覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは抹消の登記権利者となる所有権の登記名義人にも名変登記を要する正しい記述で、イも仮差押債権者による住所の変更の登記として正しい記述です。
- 2アオ:アとオはどちらも誤りではありません。抹消の権利者側でも、管財人が売る場面でも、名義人の住所を先に今の住所へ直す手順が必要になるからです。
- 3イエ:イは誤りではありません。差押えを仮に入れた債権者も、その登記の名義を持つ者なので、引っ越した後の住所に直す登記を自ら申し出ることができます。
- 5ウオ:ウは移行の原因を組織変更とする点で誤りですが、オは正しい記述です。破産管財人による売却でも破産者の住所の変更の登記が先に必要です。
出典:令和6年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問18(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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