令和8年度 午後の部 問20
不動産登記法
根抵当権に関する問題
登記記録に次のような記録(抜粋)のある土地についての登記の申請に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
権利部(甲区)(所有権に関する事項)
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
|---|---|---|---|
| 1 | 所有権移転 | 令和2年5月12日 第2000号 | 原因 令和2年5月12日売買 所有者 A |
権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
|---|---|---|---|
| 1 | 根抵当権設定 | 令和2年5月12日 第2001号 | 原因 令和2年5月12日設定 極度額 金5,000万円 債務者 A 根抵当権者 株式会社B銀行 |
| 2 | 地上権設定 | 令和4年8月25日 第5000号 | 原因 令和4年8月25日設定 存続期間 50年 地上権者 C株式会社 |
| 付記1号 | 2番地上権抵当権設定 | 令和4年8月25日 第5001号 | 原因 令和4年8月25日金銭消費貸借同日設定 債権額 金3,000万円 債務者 C株式会社 抵当権者 株式会社D銀行 |
ア 乙区1番の根抵当権の極度額を7,000万円とする変更の登記を申請する場合には、C株式会社の承諾を証する情報又はC株式会社に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要する。
イ 乙区2番の地上権の存続期間が満了した後に、当該地上権の登記の抹消を申請する場合には、株式会社D銀行の承諾を証する情報又は株式会社D銀行に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要する。
ウ 乙区2番の地上権の存続期間を40年に変更する登記を申請する場合において、株式会社D銀行の承諾を証する情報又は株式会社D銀行に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなかったときは、当該登記は付記登記によってされる。
エ 乙区2番の地上権のうち一部の持分を売買したことによる地上権の一部移転の登記を申請することはできない。
オ 乙区1番の根抵当権について、元本の確定前に株式会社B銀行を分割会社とする会社分割があったことを原因とする根抵当権の一部移転の登記を申請する場合には、Aの承諾を証する情報又はAに対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要しない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イオ
- 5ウエ
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✓ これが正解4イオ
解説
イとオが正しい。地上権の抹消にはD銀行の承諾が要る
登記記録の事例で、変更・抹消の登記に誰の承諾が必要かなどを、不動産登記法第66条・第68条と先例で判断する問題です。登記記録では、乙区1番がB銀行の根抵当権、2番がC社の地上権、その付記1号がD銀行の地上権を目的とする抵当権です。
アは誤りです。後順位の地上権は、先順位の根抵当権が実行されれば極度額にかかわらず消滅する立場にあるので、極度額の増額で新たに不利益を受けるわけではなく、C社は利害関係人に当たらないと扱われています。イは正しい記述です。第68条は、権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合にはその承諾があるときに限り申請できると定めており、地上権を目的とする抵当権者D銀行はこの第三者に当たります。ウは誤りです。第66条は、権利の変更の登記は利害関係を有する第三者の承諾がある場合及び第三者がない場合に限り付記登記によってすることができると定めています。存続期間を短くする変更でD銀行の承諾を提供しなければ、主登記でされます。
エは誤りです。地上権も持分の形で複数人が共有でき(準共有)、その一部を売買したことによる地上権の一部移転の登記を申請できます。オは正しい記述です。元本の確定前に根抵当権者を分割をする会社とする会社分割があると、民法第398条の10第1項により、根抵当権は承継した会社が分割後に取得する債権も担保するものとなります。法律の定めによる承継なので、設定者Aの承諾は要りません。
したがって、正しいのはイとオです。権利の変更の登記は承諾があれば付記、なければ主登記、抹消は承諾がなければそもそも申請できない、と条文の違いを押さえておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アエ:この二つはどちらも誤りです。後順位の地上権者は極度額の増額によって不利益を受けず、地上権も準共有の持分として一部を移転する登記ができます。
- 2アオ:オの判断は合っていますが、アが誤りです。根抵当権より後に登記された地上権は、根抵当権の実行で消える点が極度額の増減で変わらないので、C社の承諾は求められません。
- 3イウ:イの判断は合っていますが、ウが誤りです。抵当権者D銀行の承諾を出さなかったときは、存続期間の変更の登記は付記ではなく独立した主登記の形でされます。
- 5ウエ:この二つはどちらも誤りです。承諾がなければ変更の登記は主登記になり、地上権の一部を売った場合は一部移転の登記を申請することができます。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問20(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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