令和8年度 午後の部 問30
商業登記法
合同会社に関する問題
会社の本店移転の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第28問から第35問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記をした場合において、本店移転の無効を原因として当該登記の抹消の申請をするときは、新所在地における本店移転の登記の抹消の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。
イ 本店の移転後その登記前に住居表示の実施に伴い本店の表示が変更した場合において、住居表示の実施により改められた本店の所在地の表示をもって本店移転の登記を申請するときは、登録免許税は課されない。
ウ 他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記をした場合において、当該本店移転に係る株主総会の決議の取消しの訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、新所在地を管轄する登記所を経由して旧所在地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。
エ 唯一の社員が法人である合同会社が定款を変更して他の登記所の管轄区域内への本店移転をした場合における当該本店移転の登記の申請書には、当該法人の同意があったことを証する書面として、当該法人の選任した職務執行者の意思表示に係る書面を添付しなければならない。
オ 他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記を申請した場合において、新所在地を管轄する登記所の登記官が新所在地における登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は、却下されたものとみなされる。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解2アオ
解説
アとオが正しい。管轄外の本店移転は申請も嘱託も旧所在地経由
他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記について、商業登記法第51条・第52条などで判断する問題です。定款に別段の定めはない前提です。
アは正しい記述です。商業登記法第51条第1項は、新所在地における登記の申請は旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならないと定めており、本店移転の登記の抹消を申請する場合も同じく旧所在地の登記所を経由すると扱われています。イは誤りです。登録免許税法第5条第4号が非課税とするのは、住居表示の実施に伴う登記事項の変更の登記です。本店を移転した登記は、改められた表示で申請しても本店移転の登記として課税されます。ウは誤りです。商業登記法第15条は、嘱託による登記の手続に第51条第1項・第2項と第52条を準用しています。判決による嘱託も、旧所在地を管轄する登記所を経由して新所在地の登記所にするので、記述は経由する登記所の向きが逆です。
エは誤りとされています。定款の変更に対する同意は、社員である法人が社員として自らする意思表示です。代表社員の職務を行う職務執行者の意思表示に係る書面でなければならないとする記述は、法務省が公表した正解で誤りとされています(根拠の先例はここでは確かめていません)。オは正しい記述です。第52条第5項は、新所在地を管轄する登記所が新所在地における登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は却下されたものとみなすと定めています。
したがって、正しいのはアとオです。管轄外への本店移転は、申請でも嘱託でも旧所在地の登記所を経由する、と経由の向きを一つに決めて覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アの判断は合っていますが、ウが誤りです。決議取消判決による嘱託でも、申請と同じように旧所在地の登記所を経由して新所在地の登記所へ回る順序になり、記述は向きが逆です。
- 3イウ:イもウも誤りなので外れます。新しい町名地番で申請しても移転そのものの登記なので税は免除されず、裁判所からの嘱託も移転前の本店の登記所を通して出されます。
- 4イエ:この二つはどちらも誤りです。住居表示の実施による非課税は登記事項の変更の登記に限られ、法人である社員の同意は職務執行者の書面に限る扱いではありません。
- 5エオ:オの判断は合っていますが、エが誤りです。唯一の社員である法人が本店を移す定款変更に同意したことは、その法人自身が示すものであり、職務執行者が作った書面を必ず付けるという扱いではありません。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問30(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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