令和8年度 午後の部 問29
商業登記法
株式会社に関する問題
株式会社の設立の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第28問から第35問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 当該設立が募集設立であり、定款に本店の具体的な所在場所を定めなかった場合には、その所在場所を定める創立総会議事録を添付して、設立の登記を申請することができる。
イ 当該設立が発起設立であり、定款にいわゆる変態設立事項についての定めがない場合には、設立時取締役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することなく、設立の登記を申請することができる。
ウ 当該設立が募集設立であり、設立時募集株式について引受けが未了であるものが存する場合であっても、当該株式会社に払込み又は給付がされた財産の価額が定款に定めた設立に際して出資される財産の最低額を下回らないときは、再度引受人の募集をすることなく、設立の登記を申請することができる。
エ 当該設立が発起設立であり、定款に設立時取締役についての定めがない場合には、設立時取締役の選任について発起人の全員の同意があったことを証する書面を添付して、設立の登記を申請しなければならない。
オ 当該設立が発起設立であり、公証人による定款の認証を受ける前に設立時発行株式の引受け及び設立時取締役の選任がされ、その後に定款の認証を受けた場合には、当該定款を添付して、設立の登記を申請することができない。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解5エオ
解説
エとオが誤り。設立時取締役は発起人の議決権の過半数で選任
株式会社の設立の手続と設立の登記の添付書面について、会社法と商業登記法で判断する問題です。定款に別段の定めはない前提です。誤っているものを選びます。
アは正しい記述です。本店の具体的な所在場所は定款で定めていなくてもよく、募集設立では創立総会の決議で定めることもできるので、その創立総会議事録を添付して申請できます。イも正しい記述です。設立時取締役の調査報告を記載した書面とその附属書類は、変態設立事項がある場合に問題になるもので、変態設立事項の定めがなければ添付を要しないとされています。ウも正しい記述です。設立時募集株式の一部について引受けがなくても、払込み又は給付がされた財産の価額が定款に定めた出資される財産の最低額を下回らなければ、再募集をせずに設立の登記を申請できます。
エは誤りです。会社法第40条第1項は、設立時役員等の選任は発起人の議決権の過半数をもって決定すると定めています。発起人全員の同意は要りません。オも誤りです。公証人による定款の認証前にされた設立時発行株式の引受けや設立時取締役の選任も、その後に定款の認証を受けていれば効力は否定されず、その定款を添付して設立の登記を申請できるとされています。
したがって、誤っているのはエとオです。発起設立での設立時役員の選任は議決権の過半数で足りる、と全員の同意が必要な事項と区別して覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:この二つはどちらも正しい記述です。本店の所在場所は創立総会で定めてもよく、引受けが一部欠けても定款の出資の最低額を満たせば設立の登記ができます。
- 2アオ:アは誤りではないので外れます。株式を引き受ける人を募る形の設立なら、本店を何番地に置くかを引受人も参加する総会で決めてよく、その記録を添付すれば登記できます。
- 3イウ:この二つはどちらも正しい記述です。変態設立事項がなければ設立時取締役の調査報告書は付けずに済み、払込みが出資の最低額以上なら再募集なしで設立できます。
- 4イエ:エは確かに誤りですが、イは正しい記述です。現物出資などの変態設立事項がない発起設立では、設立時取締役の調査報告を記載した書面は添付しなくてかまいません。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問29(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
同じ用語が出る問題
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