令和7年度 午後の部 問32
商業登記法
取締役に関する問題
会社法上の公開会社でない株式会社の取締役又は代表取締役の変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第28問から第35問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 取締役の員数が定款により定められている場合には、取締役の辞任による変更の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
イ 取締役会設置会社でない会社において、定款の定めに基づく取締役の互選によって選定された代表取締役が辞任した場合には、代表取締役の辞任による変更の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
ウ 取締役が株主総会の目的である事項として取締役の選任について提案し、当該提案につき株主の全員が同意したことによって、株主総会の決議があったとみなされた場合には、取締役の就任による変更の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
エ 取締役会設置会社において、株主総会の決議によって代表取締役を選定することができる旨の定款の定めに基づいて代表取締役を選定した場合には、代表取締役の就任による変更の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
オ 取締役会設置会社でない会社において、定款に定められた代表取締役が辞任した場合には、代表取締役の辞任による変更の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解4イエ
解説
イとエが正しく、ア・ウ・オは定款の添付が要らない場面
取締役・代表取締役の変更の登記の申請書に定款を添付しなければならないかを、商業登記規則第61条第1項の基準で判断する問題です。同項は、定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に定款又は裁判所の許可書を添付しなければならないとしています。つまり、その登記の効力が定款の定めに支えられているかが分かれ目です。
アは誤りです。辞任は取締役の一方的な意思表示で効力を生じ、定款の定めに支えられたものではありません。員数を欠くかどうかを確かめるために定款の添付を求める扱いもされていません。イは正しい記述です。取締役会設置会社でない会社で、取締役の地位を残したまま代表取締役の地位だけを辞任できるのは、定款の定めに基づく互選で選定された代表取締役だからです。そのため、この辞任の登記では、互選の根拠となる定款を添付すると扱われています。
ウは誤りです。株主全員の同意による株主総会の決議の省略は会社法が直接認める方法で、定款の定めを要しません。添付するのは同意があったことを証する書面です。エは正しい記述です。取締役会設置会社では代表取締役は取締役会が選定するのが原則で、株主総会で選定できるのは定款に定めがある場合に限られます。そのため定款の添付が必要です。オは誤りです。定款で直接定められた代表取締役の辞任は、辞任の意思表示で効力を生じ、定款の定めがなければ無効になるものではありません。
したがって、正しいのはイとエです。その選定や手続が定款の定めがなければ使えないものかどうか、を一つずつ確かめると判断できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:イは正しいものの、アが誤りです。取締役の辞任は本人の意思表示だけで効力を生じるので、員数の定めがあっても辞任の登記に定款を添える必要はありません。
- 2アオ:アとオはどちらも誤りです。取締役の辞任も、定款で直接定められた代表取締役の辞任も、辞任の意思表示で効力を生じるので、定款は添付しなくてよい場面です。
- 3イウ:イは正しいですが、ウが誤りです。株主全員が提案に同意して決議があったとみなされる仕組みは会社法そのものが用意しているもので、定款の定めは前提になっていません。
- 5エオ:エは正しいですが、オが誤りです。定款に名前を書いて定めた代表取締役でも、辞めるときは辞任の意思表示で足り、その登記に定款を添付する必要はありません。
出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問32(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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