令和8年度 午後の部 問23
不動産登記法
根抵当権に関する問題
根抵当権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 元本の確定前の根抵当権について、根抵当権者と根抵当権設定者が極度額を増額する旨の契約を行った場合において、唯一の利害関係人の承諾がその契約の後にされたときは、極度額の増額による根抵当権の変更の登記の申請情報として提供する登記原因の日付は、当該利害関係人の承諾の日である。
イ 債務者をAとし、債権の範囲を「銀行取引」とする元本の確定前の根抵当権について、根抵当権者と根抵当権設定者が、債務者をA及びBと変更すると同時に、債権の範囲を「手形貸付取引」と変更した場合には、これらの変更を内容とする根抵当権の変更の登記は、一の申請情報によって申請することができる。
ウ 根抵当権の設定の仮登記について、当該根抵当権の元本が確定した場合には、当該根抵当権の元本確定の登記を申請することができる。
エ 甲土地について設定の登記がされた元本の確定前の根抵当権の唯一の債務者について相続が開始し、6か月以内に指定債務者の合意の登記がされなかった場合には、その後に締結された根抵当権の追加設定契約に基づき、乙土地について甲土地と共同根抵当とする根抵当権の設定の登記を申請することはできない。
オ A株式会社を吸収分割株式会社、B株式会社を吸収分割承継株式会社とする吸収分割契約において、A株式会社を根抵当権者とする元本の確定前の根抵当権の根抵当権者をB株式会社と定めたときは、当該分割契約書を提供することにより、会社分割を登記原因として、根抵当権者をB株式会社のみとする根抵当権の移転の登記を申請することができる。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウエ
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✓ これが正解4イオ
解説
イとオが誤り。分割で承継会社だけを根抵当権者とする移転は不可
元本の確定前の根抵当権の変更・移転などの登記について、民法の根抵当権の規定と先例で判断する問題です。誤っているものを選びます。
アは正しい記述です。民法第398条の5は、極度額の変更は利害関係を有する者の承諾を得なければすることができないと定めており、承諾は変更の効力が生じるための要件です。そのため、承諾が変更契約より後にされたときは、承諾の日が登記原因の日付になります。イは誤りとされています。法務省が公表した正解は、債務者をA及びBとする変更と債権の範囲を変更する変更を、一の申請情報によって申請できるとするこの記述を誤りとしています。その根拠となる先例はここでは確かめられていないので、結論として押さえてください。ウは正しい記述です。根抵当権の設定の仮登記がされている場合でも、元本が確定したときは、その元本確定の登記を申請できるとされています。
エは正しい記述です。債務者の相続開始後6か月以内に指定債務者の合意の登記がされなかったときは、元本は相続開始の時に確定したものとみなされます。元本が確定した根抵当権について、その後に追加設定をすることはできません。オは誤りです。民法第398条の10第1項により、元本の確定前に根抵当権者を分割をする会社とする会社分割があると、根抵当権は分割をした会社と承継した会社の双方の債権を担保するものとなります。分割契約で承継会社のみを根抵当権者と定めても、会社分割を原因として承継会社だけを根抵当権者とする移転の登記を直接申請することはできないと扱われています。
したがって、誤っているのはイとオです。元本確定前の会社分割では、分割をした会社が根抵当権者から外れず双方の債権を担保する形になる、と条文の結論で覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:この二つはどちらも正しい記述です。極度額の増額は承諾がそろった日に効力を生じ、仮登記の根抵当権でも元本が確定すればその確定の登記をすることができます。
- 2アオ:オは確かに誤りですが、アは正しい記述です。承諾が変更契約より遅れたときは、変更の効力が生じる承諾の日を登記原因の日付として申請します。
- 3イエ:イは確かに誤りですが、エは正しい記述です。合意の登記がないまま6か月が過ぎれば元本は相続開始時に確定したとみなされ、その後の追加設定の登記はできません。
- 5ウエ:この二つはどちらも正しい記述です。仮登記された根抵当権も元本確定の登記ができ、相続後に指定債務者の合意の登記がなければ追加設定はできなくなります。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問23(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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