令和8年度 午後の部 問24
不動産登記法
登記識別情報に関する問題
信託の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 甲土地について、受益者の定めのない信託についての所有権の移転の登記及び信託の登記を申請する場合には、信託目録に記録すべき情報として受益者の定めのない旨を提供しなければならない。
イ Aを委託者兼受益者、Bを受託者とする信託を登記原因とする所有権の移転の登記及び信託の登記がされている甲土地について、AがCに対して当該信託に係る受益権を売却した場合において、CがBに代位して受益者の変更の登記を完了したときは、Cに対して登記識別情報が通知される。
ウ Aを委託者兼受益者、Bを受託者とする信託を登記原因とする所有権の移転の登記及び信託の登記がされている甲土地について、Bが当該信託の目的に基づいて甲土地をCに売却し、甲土地が信託財産に属しないこととなった場合には、当該信託の登記の抹消の申請は、A及びBが共同してしなければならない。
エ 信託財産に属する甲土地を受託者の固有財産に属する財産とした場合において、受託者の固有財産となった旨の登記及び信託の登記の抹消を申請するときは、申請人は、所有権の登記名義人である受託者に通知された登記識別情報を提供しなければならない。
オ 甲土地の所有権を自己信託の対象とした場合における当該所有権が信託財産となった旨の権利の変更の登記は、主登記によってされる。
- 1アイ
- 2アオ
- 3イエ
- 4ウエ
- 5ウオ
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✓ これが正解2アオ
解説
アとオが正しい。信託の登記の抹消は受託者が単独で申請
信託の登記について、不動産登記法の信託の登記の規定と先例で判断する問題です。
アは正しい記述です。受益者の定めのない信託では、信託目録に記録すべき情報として、受益者の定めのない旨を提供します。イは誤りです。受益者の変更の登記は信託目録の記録を変更するもので、受益権を買ったCが登記名義人になるわけではありません。CがBに代位して申請した場合でも、Cに登記識別情報は通知されないとされています。ウは誤りです。不動産登記法第104条第2項は、信託の登記の抹消は受託者が単独で申請することができると定めています。委託者兼受益者Aと共同で申請する必要はありません。
エは誤りです。第104条の2第2項の表の第2号は、信託財産に属する財産が固有財産に属する財産となった場合の登記について、受託者を登記権利者、受益者を登記義務者としています。受託者はこの登記では登記権利者の立場に立つので、受託者に通知された登記識別情報の提供を求める記述は誤りとされています。オは正しい記述です。自己信託の場合の、所有権が信託財産となった旨の権利の変更の登記は、主登記でされるとされています。
したがって、正しいのはアとオです。信託の登記では、誰が登記名義人になり誰が登記義務者になるかを条文の表で確かめておくと、登記識別情報の通知や提供の問題を整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アの判断は合っていますが、イが誤りです。代位で受益者の変更の登記をしても、Cは登記記録上の所有者にならないので、登記識別情報を受け取ることはありません。
- 3イエ:この二つはどちらも誤りです。受益者の変更の登記でCに登記識別情報は通知されず、固有財産となった旨の登記で受託者は登記義務者ではないので、その提供を求める点が誤りです。
- 4ウエ:この二つはどちらも誤りです。信託財産から外れた場合の信託の登記の抹消は受託者だけで申請でき、固有財産となった旨の登記でも受託者は登記義務者ではありません。
- 5ウオ:オの判断は合っていますが、ウが誤りです。信託の目的に従って売却し信託財産から外れたときの信託の登記の抹消は、受託者が一人で申請することが条文で認められています。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問24(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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