令和8年度 午前の部 問29
会社法・商法
自己株式に関する問題
自己株式に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 株式会社は、自己株式について、議決権及び剰余金の配当を受ける権利のいずれも有しない。
イ 株式会社は、当該株式会社の株式を無償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、取得する株式の数を定めなければならない。
ウ 株式会社は、その処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとする場合には、その都度、募集株式について募集事項を定めなければならない。
エ 株式会社は、自己株式を相当の時期に処分しなければならない。
オ 株式会社が自己株式を消却した場合には、当該株式会社の発行可能株式総数は、減少する。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解1アウ
解説
アとウが正しい。自己株式には議決権も配当もなく、処分は募集事項で
自己株式の権利・取得・処分・消却について、会社法の条文で判断する問題です。
アについて、会社法第308条第2項は、株式会社は自己株式については議決権を有しないと定め、会社法第453条は、剰余金の配当の相手を株主(当該株式会社を除く)としています。自己株式には議決権も剰余金の配当を受ける権利もないので、アは正しい記述です。イについて、株主との合意による有償の取得には、あらかじめ株主総会の決議で取得する株式の数などを定める手続がありますが、当該株式会社の株式を無償で取得する場合は会社に不利益がないため、その手続を要しない取得として扱われています。イは誤りです。
ウについて、会社法第199条第1項は、株式会社がその発行する株式またはその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式について募集事項を定めなければならないと定めています。ウは正しい記述です。エについて、会社法には、株式会社が自己株式を相当の時期に処分しなければならないとする規定はなく、会社は自己株式を期間の制限なく保有できます。相当の時期に処分しなければならないのは、子会社が保有する親会社株式です。エは誤りです。オについて、自己株式を消却すると発行済株式の総数は減りますが、発行可能株式総数は定款で定める数なので、消却によって当然に減ることはありません。オは誤りです。したがって、アとウの組合せが正解です。
自己株式は保有し続けてよい、処分するなら新株の発行と同じ募集の手続、と取得・保有・処分の三段階で整理しましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2アオ:アは正しい記述ですが、オは誤りです。自己株式を消却して減るのは発行済株式の総数で、定款で定めた発行可能株式総数は、定款を変更しない限り消却によって減りません。
- 3イウ:ウは正しい記述ですが、イは誤りです。自社の株式を無償で取得する場合は会社の財産が流出しないので、取得する株式の数などを事前に株主総会で決議しておく手続は要りません。
- 4イエ:イは無償取得にも株主総会の決議を要するとする点、エは自己株式の処分義務を認める点で、どちらも誤りです。自己株式は期間の制限なく保有し続けることができます。
- 5エオ:エとオはどちらも誤りです。自己株式を相当の時期に処分すべき規定はなく、また自己株式を消却しても発行可能株式総数が当然に減少することはありません。
出典:令和8年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問29(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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