令和7年度 午前の部 問35
会社法・商法
商法に関する問題
匿名組合に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができる。
イ 匿名組合員は、営業者を代表することができない。
ウ 匿名組合員は、自己の商号を営業者の商号として使用することを許諾したときは、その使用以後に生じた債務を営業者と連帯して弁済する責任を負う。
エ 匿名組合の存続期間を定めた場合には、やむを得ない事由があるときであっても、各当事者は、匿名組合契約を解除することができない。
オ 匿名組合契約は、匿名組合員が後見開始の審判を受けたことによって終了する。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
答えと解説を見る
✓ これが正解5エオ
解説
エとオが誤り。やむを得ない事由で解除でき、組合員の後見は終了事由外
匿名組合について、商法の匿名組合の規定で判断する問題です。匿名組合は、匿名組合員が営業者の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約する契約です。
アについて、商法第536条第2項は、匿名組合員は金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができると定めています。労務や信用を出資することはできないので、アは正しい記述です。イについて、第536条第3項は、匿名組合員は営業者の業務を執行し、または営業者を代表することができないとしています。イは正しい記述です。ウについて、第537条は、匿名組合員が自己の商号を営業者の商号として使用することを許諾したときは、その使用以後に生じた債務について営業者と連帯して弁済する責任を負うとしています。ウは正しい記述です。
エについて、第540条第2項は、匿名組合の存続期間を定めたか否かにかかわらず、やむを得ない事由があるときは、各当事者はいつでも匿名組合契約の解除をすることができると定めています。存続期間を定めていると解除できないとするエは誤りです。オについて、第541条は匿名組合契約の終了事由として、事業の成功またはその成功の不能、営業者の死亡または営業者が後見開始の審判を受けたこと、営業者または匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたことを挙げています。匿名組合員の後見開始の審判は終了事由に含まれず、オは誤りです。したがって、エとオの組合せが正解です。
匿名組合員は出資するだけの立場なので、その後見開始では契約は終わらず、営業者側の事情で終わる、と役割から覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは出資を金銭その他の財産に限る記述、ウは商号の使用を許諾した匿名組合員の連帯責任を述べた記述で、どちらも条文どおりの正しいものです。
- 2アオ:オは匿名組合員の後見開始の審判で契約が終わるとする誤りですが、アは出資の目的を金銭その他の財産に限るという第536条第2項どおりの正しい記述です。
- 3イウ:イは匿名組合員が営業者を代表できないという記述、ウは商号の使用を許諾したときの連帯責任の記述で、どちらも正しく、誤りを含みません。
- 4イエ:エは存続期間の定めがあるとやむを得ない事由でも解除できないとする誤りですが、イは匿名組合員の代表権を否定する正しい記述です。イではなくオと組み合わせます。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問35(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)