令和5年度 午前の部 問34
会社法・商法
合併に関する問題
会社の合併に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 株式会社を吸収合併存続会社とし、合名会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併は、することができない。
イ 公告方法として官報に掲載する方法を定款で定めている吸収合併消滅株式会社は、吸収合併について異議を述べることができる債権者がいる場合において、官報及び時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙にそれぞれ合併に関する公告を行ったときは、知れている債権者に対して各別に催告することを要しない。
ウ 吸収合併存続株式会社は、吸収合併消滅株式会社の株主に対し、吸収合併の対価として、当該吸収合併存続株式会社の子会社の株式を交付することはできない。
エ 株式会社を設立する新設合併は、新設合併設立株式会社の設立の登記をすることによって、その効力を生ずる。
オ 吸収合併の効力が生じた後に吸収合併存続株式会社の株主になった者は、当該吸収合併の効力が生じた日から6か月以内に、訴えをもって当該吸収合併の無効を主張することができる。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解5エオ
解説
エは設立の登記で効力発生、オは存続会社の株主も提訴できるので正しい
会社の合併について、会社法の組織再編の規定で判断します。正しいものを2つ選びます。
アは誤りです。会社法第748条は、会社は、他の会社と合併をすることができると定めており、株式会社と持分会社の組合せにも制限を設けていません。株式会社を存続会社、合名会社を消滅会社とする吸収合併もできます。
イも誤りです。第789条第3項は、消滅株式会社等が、官報のほか、定款の定めに従い日刊新聞紙又は電子公告の方法で公告をするときは、知れている債権者への各別の催告を要しないとしています。各別の催告を省略できるのは、定款で定めた公告方法が日刊新聞紙や電子公告である場合です。公告方法を官報と定めている会社が、たまたま日刊新聞紙にも公告しても、この省略は使えません。
ウも誤りです。吸収合併の対価は存続会社の株式に限られず、金銭やその他の財産を定めることもできます。存続会社の子会社の株式を対価として交付することも禁じられていません(存続会社の親会社株式を交付する、いわゆる三角合併も認められています)。
エは正しい記述です。新設合併で設立される株式会社は、本店所在地で設立の登記をすることで成立し、第754条第1項により、その成立の日に新設合併消滅会社の権利義務を承継します。新設合併の効力は設立の登記で生じることになります(吸収合併は契約で定めた効力発生日に効力が生じる点と区別します)。
オも正しい記述です。第828条第1項第7号は吸収合併の無効の訴えの提訴期間を効力が生じた日から6か月以内とし、同条第2項第7号は提訴権者に吸収合併後存続する会社の株主等を含めています。効力発生後に株主になった者も含まれます。
したがって、エとオを選ぶ組合せが正解です。各別の催告の省略は定款の公告方法で決まる、という点は合併以外の債権者保護手続でも共通なので押さえておくと便利です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アとウを選ぶ組合せですが、株式会社と合名会社の吸収合併は第748条で認められるのでアは誤り、吸収合併の対価に子会社株式を使うことも禁じられていないのでウも誤りです。
- 2アオ:アとオを選ぶ組合せです。オは存続会社の株主になった者が6か月以内に無効の訴えを起こせる点で正しいのですが、アは株式会社と合名会社の合併を否定していて第748条と合いません。
- 3イウ:イとウを選ぶ組合せです。公告方法が官報の会社でも各別の催告を省けるとするイも、子会社株式を対価にできないとするウも誤りで、正しい記述が1つも含まれていません。
- 4イエ:イとエを選ぶ組合せです。エは新設合併が設立の登記で効力を生じる点で正しいものの、イは定款で官報を公告方法とする会社にも各別の催告の省略を認めていて、第789条第3項の要件を外れています。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問34(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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