過去問解きまくり研究所 ホーム

令和8年度 午前の部 問31

会社法・商法

取締役会に関する問題

株式会社の役員の損害賠償責任に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。

ア 取締役会設置会社の取締役が取締役会の承認を受けないで自己のために当該取締役会設置会社の事業の部類に属する取引をしたときは、当該取引によって当該取締役が得た利益の額は、当該取締役がその任務を怠ったことによって当該取締役会設置会社に生じた損害の額と推定される。

イ 監査役会設置会社の取締役が自己のために当該監査役会設置会社と取引をし、当該取引によって当該監査役会設置会社に損害が生じた場合であっても、当該取締役が当該取引について事前に取締役会の承認を受けていたときは、当該取締役がその任務を怠ったものとは推定されない。

ウ 取締役がその任務を怠ったことによって株式会社に生じた損害を賠償する責任は、責任追及等の訴えに係る訴訟における和解をする場合を除き、株主総会の特別決議によって、その全部を免除することができる。

エ 監査役会設置会社においては、取締役は、当該監査役会設置会社が責任限定契約を業務執行取締役等でない取締役と締結することができる旨の定款の定めを設ける議案を株主総会に提出するには、各監査役の同意を得なければならない。

オ 監査役は、監査報告に記載すべき重要な事項についての虚偽の記載をした場合には、当該記載をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときを除き、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

答えと解説を見る

✓ これが正解3イウ

解説

イとウが誤り。利益相反取引は承認があっても推定、全部免除は総株主

役員等の株式会社に対する損害賠償責任と第三者に対する責任について、会社法の条文で判断する問題です。

アについて、会社法第423条第2項は、取締役が承認を受けずに競業取引をしたときは、その取引によって取締役または第三者が得た利益の額を損害の額と推定すると定めています。取締役会設置会社では承認の機関が取締役会になるだけで、推定の扱いは同じです。アは正しい記述です。イについて、同条第3項は、利益相反取引によって会社に損害が生じたときは、その取締役などは任務を怠ったものと推定すると定めており、取締役会の承認を受けたかどうかで区別していません。承認があれば推定されないとするイは誤りです。ウについて、会社法第424条は、任務懈怠による責任は総株主の同意がなければ免除できないと定めています。株主総会の特別決議で免除できるのは責任の一部にとどまるので、全部を免除できるとするウは誤りです。

エについて、会社法第427条第3項は、業務執行取締役等でない取締役と責任限定契約を締結できる旨の定款の定めを設ける議案を株主総会に出す場合に、第425条第3項を準用しています。監査役設置会社では各監査役の同意が必要なので、エは正しい記述です。オについて、会社法第429条第2項第3号は、監査役が監査報告に記載すべき重要な事項について虚偽の記載をしたときは、注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、第三者に生じた損害を賠償する責任を負うと定めています。オは正しい記述です。したがって、イとウの組合せが正解です。

全部免除は総株主の同意、一部免除は株主総会の特別決議など、と免除の範囲と手続を対にして覚えましょう。

ほかの選択肢はなぜ違うのか

出典:令和8年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問31(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。

この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)