令和7年度 午後の部 問23
不動産登記法
敷地権に関する問題
敷地権付き区分建物又は敷地権である旨の登記がされている土地についての登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、建物の区分所有等に関する法律第22条第1項ただし書の規約はないものとし、租税特別措置法等の特例法による税の減免規定の適用はないものとする。
ア 敷地権が賃借権である敷地権付き区分建物について売買を原因とする所有権の移転の登記を申請する場合には、当該賃借権の設定の登記に賃借権の譲渡を許す旨の定めがないときであっても、当該賃貸借の賃貸人の承諾を証する情報の提供を要しない。
イ Aを表題部所有者とする所有権の登記がない敷地権付き区分建物がAからBへ、BからCへと順次売却された場合には、Cは、当該区分建物について自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
ウ 敷地権が所有権である敷地権の表示の登記がされた区分建物に抵当権の設定の登記がされた場合において、当該抵当権の設定の登記の抹消を申請するときは、当該登記の抹消の登録免許税の額は、1000円である。
エ 敷地権である旨の登記がされた土地について、その登記がされる前に所有権の移転の仮登記がされている場合において、敷地権である旨の登記がされた後に当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提として、敷地権である旨の登記が抹消されていなければならない。
オ 元本確定前の根抵当権の設定の登記がされた土地を敷地権の目的として区分建物が属する一棟の建物が新築され、当該土地に敷地権である旨の登記がされた後であっても、当該根抵当権の債務者の変更の登記を申請することができる。
(参考)
建物の区分所有等に関する法律
第22条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2・3(略)
- 1アイ
- 2アウ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5エオ
答えと解説を見る
✓ これが正解5エオ
解説
エとオが正しく、アは承諾が必要、イは転得者、ウは土地の分も課税
敷地権付き区分建物では、建物と敷地の権利が一体として扱われ、建物についての登記が敷地権にも効力を及ぼします。この一体性から、承諾・保存の登記の申請人・登録免許税・敷地権の登記前の権利の扱いを判断する問題です。分離処分を許す規約はない前提です。
アは誤りです。敷地権が賃借権の場合、建物の所有権の移転にあわせて賃借権も譲渡されることになります。賃借権の設定の登記に譲渡を許す旨の定めがなければ、賃貸人の承諾を証する情報の提供が必要です。イも誤りです。不動産登記法第74条第2項は、区分建物にあっては表題部所有者から所有権を取得した者も所有権の保存の登記を申請できるとしていますが、これは表題部所有者から直接取得した者に限られます。Bから転得したCは申請できません。
ウは誤りです。抹消の登記の登録免許税は不動産の個数を単位とする定額で、敷地権付き区分建物の場合は建物と敷地権の目的である土地の両方を数えます。所有権の敷地権が1筆の土地なら2個分となり、1000円ではありません。エは正しい記述です。敷地権である旨の登記の前にされた所有権の移転の仮登記に基づく本登記は土地だけの移転になるので、その前提として敷地権である旨の登記を抹消しておく必要があると扱われています。オも正しい記述です。敷地権の登記の前から土地にあった根抵当権は土地だけを目的とする権利なので、敷地権の登記後でも、その根抵当権について債務者の変更の登記を申請できます。
したがって、正しいのはエとオです。敷地権の登記の前からあった土地の権利は土地だけの登記として扱える、と押さえると整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイを選んでいますが、どちらも誤りです。譲渡を許す定めのない賃借権の敷地権なら賃貸人の承諾が必要で、保存の登記ができるのは表題部所有者から直接買ったBまでです。
- 2アウ:アとウはどちらも誤りです。賃借権の敷地権を移すには賃貸人の承諾の情報が要り、抹消の登録免許税は区分建物と土地の両方を数えるため建物1個分では足りません。
- 3イオ:オは正しいですが、イが誤りです。表題部所有者からの取得者が保存の登記をできる特例は直接の取得者だけが対象で、さらに買い受けたCは使えません。
- 4ウエ:エは正しいですが、ウが誤りです。敷地権付き区分建物の抵当権を抹消すると土地にも効力が及ぶので、土地も個数に入り、税額は1000円にとどまりません。
出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問23(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
同じ用語が出る問題
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)