令和5年度 午後の部 問19
不動産登記法
時効取得に関する問題
時効取得を登記原因とする所有権の移転の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aは、Bが所有権の登記名義人である甲土地を占有していたが、甲土地の取得時効の完成前に死亡し、Aの相続人であるCが甲土地の占有を継続して甲土地を時効により取得した場合において、Cが当該時効の起算日より後に出生したときであっても、Cは、時効取得を登記原因として、当該時効の起算日の日付を登記原因の日付とする所有権の移転の登記を申請することができる。
イ Aは、B及びCが所有権の登記名義人である甲土地を時効により取得したが、Bが共有者全員持分全部移転の登記に協力しない場合には、Aは、Cと共同して時効取得を登記原因としてCの持分の移転の登記を申請することはできない。
ウ Aは、Bが所有権の登記名義人である甲土地を時効により取得したが、その時効の起算日より前にBが死亡していた場合には、Aは、甲土地について相続を登記原因とする所有権の移転の登記をすることなく、Bの相続人全員と共同してBからAへの所有権の移転の登記を申請することはできない。
エ Aは、時効の起算日より後にBが死亡し、Bの相続人であるCに相続を登記原因とする所有権の移転の登記がされている甲土地を時効により取得した場合には、Cへの所有権の移転の登記を抹消した上で、Aは、Bの相続人全員と共同して所有権の移転の登記を申請しなければならない。
オ Aは、Bが所有権の登記名義人である甲土地を時効により取得したが、その後に、BがCに対し、甲土地を贈与しており、贈与を登記原因とするBからCへの所有権の移転の登記がされている場合には、Aは、Cと共同して時効取得を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができる。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イエ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解2アウ
解説
アとウが正しく、イ・エ・オは時効取得の登記の扱いと違う
時効取得による所有権の移転の登記は、民法の取得時効の効力が起算日にさかのぼることと、時効完成の前後で誰が登記義務者となるかに関する判例・先例で判断します。
アは正しいです。Cは被相続人Aの占有を承継して時効を完成させているので、起算日より後に生まれていても、時効取得を登記原因とし起算日を日付とする所有権の移転の登記を申請できます。イは誤りです。共有不動産を時効取得した場合でも、協力するCとの間で、Cの持分について時効取得による持分の移転の登記を申請することができます。ウは正しいです。起算日より前に登記名義人Bが死亡していたときは、時効の起算時点の所有者はBの相続人なので、まず相続の登記をしてから、相続人からAへの移転の登記をします。エは誤りです。起算日より後にBが死亡し相続の登記がされている場合でも、それを抹消する必要はなく、登記名義人である相続人Cと共同して移転の登記を申請できます。オは誤りです。時効完成後に原所有者から贈与を受けて登記をしたCとAとは対抗関係に立ち、先に登記をしたCが優先するので、AはCと共同して時効取得の登記を申請することはできません。
したがって正しいのはアとウです。起算日より前の死亡なら相続の登記が先、起算日より後の死亡なら相続の登記の有無に合わせる、と起算日を軸に整理しましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは正しいものの、イが誤りです。時効取得は持分ごとに考えることができ、共有者の一人が協力しなくても、協力する共有者の持分についてだけ移転の登記を申請することは可能です。
- 3イエ:イとエはどちらも誤りです。協力する共有者の持分だけの移転は申請でき、起算日後の死亡で相続の登記がされているなら、それを消さずに登記名義人と共同で申請します。
- 4ウオ:ウは正しいものの、オが誤りです。時効の完成後に原所有者から譲り受けて先に登記を備えた第三者には、時効取得者は登記なしに対抗できないため、その者からの移転は申請できません。
- 5エオ:エとオの組合せは両方とも誤りです。既にある相続の登記を抹消する必要はなく、また時効完成後に登記を得た受贈者は時効取得者に優先するので、その者との共同申請はできません。
出典:令和5年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問19(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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