令和5年度 午後の部 問26
不動産登記法
原本の還付に関する問題
書面を提出する方法によって不動産登記の申請をする場合における添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付の請求に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、申請人はいずれも自然人とする。
ア 相続を原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、申請人の住所の記載のある相続関係説明図を添付したときは、申請人の住所を証する書面について原本と相違ない旨の記載のある謄本の提供を要することなく、当該申請人の住所を証する書面の原本の還付を請求することができる。
イ 売買を原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、登記義務者が登記識別情報を提供することができないため資格者代理人が作成した本人確認情報を添付したときは、当該本人確認情報に添付する資格者代理人であることを証する書面について原本の還付を請求することができる。
ウ 時効取得を原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、当該申請のために登記権利者及び登記義務者が作成した登記の原因となる事実又は法律行為を登記所に報告する形式の登記原因を証する情報を添付したときは、当該登記原因を証する情報について原本の還付を請求することはできない。
エ 売買予約を原因とする所有権の移転請求権の仮登記を申請する場合において、登記権利者が、登記義務者の承諾書を添付して単独で当該仮登記の申請をしたときは、当該承諾書に添付された登記義務者の印鑑に関する証明書について原本の還付を請求することはできない。
オ 申請人が登記の申請をするとともに添付書面について原本の還付を請求した場合において、当該請求に係る添付書面の原本の還付を請求することができるときは、登記官は、当該申請の受付後、直ちに原本の還付をしなければならない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イオ
- 5ウエ
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✓ これが正解2アオ
解説
アとオが誤り。住所証明書は謄本が要り、還付は調査完了後
添付書面の原本還付は、不動産登記規則第55条と先例で判断します。原則として原本の還付を請求できますが、一定の印鑑証明書や当該申請のためにのみ作成された書面は除かれます。
アは誤りです。相続関係説明図を提出すれば、戸籍謄本等については謄本を出さずに原本の還付を受けられる扱いがありますが、これは戸籍謄本等に限られます。住所を証する書面は対象外なので、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出する必要があります。イは正しいです。本人確認情報に添付する資格者代理人であることを証する書面は、当該申請のためにのみ作成されたものではないので、原本の還付を請求できるとされています。ウは正しく、登記原因証明情報のうち当該申請のために作成された報告形式のものは、当該申請のためにのみ作成された書面に当たり、原本の還付を請求できません。エは正しく、単独で仮登記を申請する場合に承諾書に添付する登記義務者の印鑑証明書は、原本還付の対象から除かれる印鑑証明書です。オは誤りです。登記官は、原本還付の請求があった場合、調査完了後に原本を還付すると定められており、受付後直ちに還付するのではありません。
したがって誤っているのはアとオです。還付の時期は調査完了後、相続関係説明図で代えられるのは戸籍謄本等だけ、と2点を押さえましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アエ:アは誤りですが、エは正しい記述です。承諾書に付ける登記義務者の印鑑証明書は、原本還付を請求できない書面として規則で除外されているものに当たります。
- 3イウ:イとウはどちらも正しい記述です。資格者代理人であることの証明書は還付を受けられ、申請のために作った報告形式の登記原因証明情報は還付の対象外です。
- 4イオ:オは誤りですが、イは正しい記述です。司法書士などが本人確認情報に付ける自分の資格の証明書は、特定の登記のためだけに用意したものとは扱われず、返してもらうことができます。
- 5ウエ:ウとエはともに正しい記述です。その申請のためだけに作成した報告形式の書面と、承諾書に付いた印鑑証明書は、いずれも原本還付の請求ができない書面とされています。
出典:令和5年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問26(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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