令和7年度 午後の部 問21
不動産登記法
所有権に関する問題
所有権の更正の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、贈与を原因とするAからBへの所有権の移転の登記がされた後、当該贈与が無効であったことが判明した場合には、A及びBは、Aを所有権の登記名義人とする所有権の更正の登記を申請することができる。
イ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、AからBへ、BからCへの売買を原因とする所有権の移転の登記が順次された後、BがAから売買でなく贈与により甲土地の所有権を取得したことが判明した場合には、B及びCは、AからBへの所有権の移転の登記の登記原因を贈与とする所有権の更正の登記を申請することができる。
ウ 亡Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aの債権者Bの代位によりAの2人の子C及びDへの相続を原因とする所有権の移転の登記がされた後、CがAに係る相続の放棄をした場合において、Dが甲土地をDの単独所有とする所有権の更正の登記を申請するときは、Bの承諾を証する情報を提供しなければならない。
エ 甲土地について、Aの持分を3分の2とし、Bの持分を3分の1とする所有権の移転の登記がされた後、甲土地を目的としてCを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされた場合において、Aの持分を4分の1とし、Bの持分を4分の3とする所有権の更正の登記の申請をするときは、Cの承諾を証する情報の提供を要しない。
オ 甲土地について、売買を原因とするAからBへの所有権の移転の登記がされている場合において、錯誤を原因としてBの単有名義からB及びCの共有名義とする所有権の更正の登記を申請するときは、Aを登記義務者とすることを要しない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5エオ
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✓ これが正解4ウエ
解説
ウとエが正しく、アは抹消の場面、イ・オは申請人の取り違え
更正の登記は、登記の一部に当初から誤りや遺漏がある場合に、登記の同一性を保ったまま正すものです。同一性があるか、誰が申請人となり誰の承諾が要るかを、不動産登記法と先例で判断します。
アは誤りです。贈与が無効なら、AからBへの移転の登記は全部が実体を欠くので、正すのではなく抹消すべき場面です。名義をAに戻す更正の登記は、登記の同一性を欠くためできません。イも誤りです。更正するのはAからBへの登記の登記原因なので、申請人となるのはその登記の当事者であるAとBです。登記原因の当事者ではないCを申請人とする組み合わせは誤りです。
ウは正しい記述です。債権者Bの代位によってされた相続登記を、Cの相続放棄によりDの単独所有に更正すると、代位によって登記をさせたBはその結果に利害を持ちます。そのためBの承諾を証する情報の提供が必要と扱われています。エも正しい記述です。抵当権は甲土地全体を目的としているので、持分の割合を更正しても抵当権の目的や効力は変わりません。Cは登記上の利害関係を有する第三者にあたらず、承諾を得る必要はありません。オは誤りです。Bの単有をBCの共有に更正すると、AからCへの移転を含めることになるので、Bだけでなく前の登記名義人Aも登記義務者となります。
したがって、正しいのはウとエです。全部が誤りなら抹消、一部の誤りなら更正、と最初に振り分けるのが解き方の出発点です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイを選んでいますが、どちらも誤りです。贈与が全部無効なら抹消の登記によるべきで、AからBへの登記の原因を直すなら、その登記の当事者であるAとBが申請人になります。
- 2アウ:ウは正しいものの、アが誤りです。移転の原因が初めから無効なら登記の全部が実体を欠くので、更正ではなく抹消の登記をするべき場面にあたります。
- 3イオ:イとオはどちらも誤りです。原因の更正は登記の当事者が申請するもので第三者Cは申請人とならず、単有から共有への更正では前の登記名義人Aも登記義務者になります。
- 5エオ:エは正しいですが、オが誤りです。Cを共有者に加えることはAからCへの移転を登記に含めることになるので、Aを登記義務者に加えなければなりません。
出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問21(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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