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令和7年度 午後の部 問14

不動産登記法

権利能力なき社団に関する問題

次の対話は、権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地の所有権の登記名義人がA社団の代表者Bである場合に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

教授: A社団の代表者としてCが追加して選任された場合には、B及びCが申請するBからCへの所有権の一部移転の登記の登記原因は何ですか。

学生:ア 「委任の変更」となります。

教授: 次に、Bが死亡し、後日、A社団の代表者としてCが就任したという事例を「本件事例」としましょう。本件事例において、CがA社団の代表者に就任したことにより、甲土地についてBからCへの所有権の移転の登記を申請する場合には、その登記原因の日付はいつになりますか。

学生:イ Bが死亡した日となります。

教授: 本件事例において、A社団の代表者としてCが就任したため、甲土地についてBからCへの所有権の移転の登記を申請しようとしたが、その申請をする前に、Bの相続人であるDが相続を原因とするBからDへの所有権の移転の登記を申請し、その旨の登記がされていたとします。この場合には、Cは、どのような登記の申請をすることとなりますか。

学生:ウ Cは、BからDへの所有権の移転の登記の抹消の申請をしなくても、DからCへの委任の終了を原因とする所有権の移転の登記の申請をすることができます。

教授: 本件事例において、甲土地についてBからCへの所有権の移転の登記を申請する前に、Cは、A社団を代表して甲土地をEに売却したとします。この場合には、C及びEは、売買を原因とするBからEへの所有権の移転の登記を申請することはできますか。

学生:エ いいえ、できません。

教授: 最後に、事例を変えて、A社団がFから金銭を借り入れ、その貸金債権を担保するためにFを抵当権者とする抵当権が甲土地に設定されたとします。当該抵当権の設定の登記を申請する場合には、債務者としてA社団の名称を申請情報の内容とすることはできますか。

学生:オ はい、できます。

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✓ これが正解5エオ

解説

エとオが正しく、ア・イ・ウは代表者名義の登記の扱いと違う

権利能力なき社団(法人格のない団体)の不動産は構成員全員に総有的に帰属し、社団名義では登記できないため、代表者個人の名義で登記されます。代表者が替わったときの登記の扱いを、先例で判断する問題です。

アは誤りです。代表者が追加・交代して名義を移すときの登記原因は、先例上、委任の終了とされています。委任の変更という登記原因は用いられません。イも誤りです。登記原因の日付は、新しい代表者Cが就任した日です。前代表者Bが死亡した日ではありません。Bの死亡によって甲土地がCに移るわけではなく、Cの就任によって名義を移す理由が生じるからです。

ウは誤りです。甲土地はB個人の財産ではないので、Bの相続人Dへの相続登記は実体に合わない登記です。Cは、まずBからDへの登記の抹消をしたうえで、BからCへの委任の終了を原因とする移転の登記を申請すると扱われています。エは正しい記述です。社団が売却した場合でも、登記名義を現在の代表者Cに移したうえでCからEへ移転する手順を踏む必要があり、BからEへ直接移転の登記をすることはできません。オは正しい記述です。抵当権の設定の登記の債務者は登記名義人ではないので、債務者として権利能力なき社団の名称を申請情報の内容とすることができます。

したがって、正しいのはエとオです。登記名義人にはなれないが債務者としてなら名前を出せる、という対比が見分けの鍵です。

ほかの選択肢はなぜ違うのか

出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問14(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。

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