令和6年度 午後の部 問34
商業登記法
登録免許税の額
次の対話は、新設分割の登記に関する司法書士と補助者との対話である。司法書士の質問に対する次のアからオまでの補助者の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第28問から第35問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
なお、租税特別措置法等の特例法による税の減免規定の適用はないものとする。
司法書士: 国民の祝日である日を変更の年月日として、新設分割株式会社の新設分割による変更の登記を申請することができますか。
補助者:ア はい。この場合、新設分割計画で定められた効力発生日に新設分割の効力が生じますので、新設分割株式会社については、当該日を変更の年月日として、その後法定の期間内に変更の登記を申請することができます。
司法書士: 新設分割株式会社の本店所在地を管轄する登記所がA法務局、新設分割設立株式会社の本店所在地を管轄する登記所がB法務局の場合には、新設分割による新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書と新設分割株式会社の変更の登記の申請書は、どの法務局に提出しますか。
補助者:イ B法務局に対し、同時に提出します。
司法書士: 新設分割計画において、会社法第763条第1項第12号に掲げる事項の定めがなく、かつ、新設分割株式会社が新設分割設立株式会社に承継させる債務の全てにつき新設分割株式会社が重畳的債務引受けをする旨の定めがある場合には、新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要がありますか。
補助者:ウ この場合、当該登記の申請書に債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要はありません。
司法書士: 新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書に、新設分割計画が承認されたことを証する書面として株主総会の議事録を添付する必要がないのは、どのような場合ですか。
補助者:エ いわゆる簡易分割又は略式分割の場合には、当該登記の申請書に株主総会の議事録を添付する必要はありません。
司法書士: 最後に、新設分割設立株式会社の資本金の額が1000万円である場合には、新設分割による新設分割設立株式会社の設立の登記をする場合の登録免許税の額は、いくらですか。
補助者:オ 15万円です。
(参考)
会社法
第763条 一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割により設立する会社(以下この編において「新設分割設立会社」という。)が株式会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一~十一 (略)
十二 新設分割株式会社が新設分割設立株式会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨
イ 第171条第1項の規定による株式の取得(同項第1号に規定する取得対価が新設分割設立株式会社の株式(これに準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)
ロ 剰余金の配当(配当財産が新設分割設立株式会社の株式のみであるものに限る。)
2 (略)
- 1アイ
- 2アエ
- 3イウ
- 4ウオ
- 5エオ
答えと解説を見る
✓ これが正解3イウ
解説
イとウが正しい。新設分割は登記の日に効力が生じ、略式分割はない
新設分割の登記について、会社法の新設分割の規定と商業登記法・登録免許税法の扱いで判断します。
アは誤りです。新設分割は、新設分割設立会社の設立の登記をした日にその会社が成立し、その成立の日に効力が生じます。新設分割計画で定めた効力発生日に効力が生じるわけではなく、登記所が休みの国民の祝日を変更の年月日とする登記はできません。イは正しく、商業登記法第87条により、新設分割株式会社の本店がB法務局の管轄区域内にないときは、変更の登記の申請はB法務局を経由してし、設立の登記の申請と同時にしなければなりません。結局、両方の申請書をB法務局に同時に提出します。ウは正しく、会社法第810条第1項第2号は、新設分割後に新設分割株式会社に債務の履行を請求することができない債権者に異議を述べる権利を与えています。承継させる債務の全てを新設分割株式会社が重畳的に引き受け、第763条第1項第12号の定めもないなら、異議を述べられる債権者はいないので、債権者保護手続を行ったことを証する書面は要りません。エは誤りです。新設分割には承継させる資産が総資産額の5分の1を超えない場合の簡易分割(同法第805条)はありますが、相手方の会社が存在しないので略式分割はありません。オは誤りです。新設分割による株式会社の設立の登録免許税は、通常の設立とは別の区分で資本金の額を基準に定められており、資本金の額が1000万円の場合に15万円とはなりません。
したがって正しいのはイとウで、イとウを選ぶ組合せが正解です。
新設分割は登記の日が効力の日、手続は新しい会社の本店の登記所に集める、と時と場所の二点で押さえましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アが外れます。会社を分けて新しく作る手続は、新会社の登記が受け付けられた日に効き目が出るので、役所が休みの祝日を変わった日とする登記は出せません。
- 2アエ:アは新設分割計画の効力発生日に効力が生じるとする点で、エは新設分割に略式分割があるとする点で、どちらも誤りです。
- 4ウオ:ウは債権者保護手続を要しない場面として正しいのですが、オは誤りです。資本金1000万円の新設分割による設立の税額は15万円になりません。
- 5エオ:エは相手方の会社が無い新設分割に略式分割を認める点で、オは登録免許税の額を15万円とする点で、いずれも誤りです。
出典:令和6年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問34(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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