令和6年度 午後の部 問16
不動産登記法
登記原因証明情報に関する問題
登記原因証明情報に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 法令又は契約により一定の期間を経過した後に甲建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、甲建物を取り壊すこととなる時に当該建物の賃貸借が終了する旨を定めた賃借権の設定の登記を申請するときは、登記原因証明情報として、甲建物を取り壊すべき事由が記載された公正証書の謄本を提供しなければならない。
イ Aが、Bに甲土地を遺贈する旨の自筆証書による遺言を作成し、その遺言書が遺言書保管所に保管されている場合において、Aが死亡し、Bが当該遺言書に基づいて甲土地についてAからBへの所有権の移転の登記を申請するときは、当該申請の登記原因証明情報のうちAの死亡を証する情報として、遺言書情報証明書を提供することができる。
ウ 売買を原因とするAからBへの所有権の移転の登記と同時にした買戻しの特約の登記がされている甲不動産について、買戻しの特約が付された売買契約の日から10年を経過したことにより、Bが単独で当該買戻しの特約の登記の抹消を申請する場合には、登記原因証明情報を提供することを要しない。
エ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、AからBへの所有権の移転の仮登記を命ずる処分の決定がされた場合において、Bが単独で当該決定に基づいて当該仮登記の申請をするときは、登記原因証明情報として、当該仮登記を命ずる処分の決定書の正本を提供しなければならない。
オ Aを所有権の登記名義人とする甲建物について、Aの配偶者であるBが、Aが死亡した後、甲建物に配偶者居住権の設定の登記を申請する場合には、登記原因証明情報として、A及びBが婚姻していたことを証する市町村長が職務上作成した情報を提供しなければならない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5エオ
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✓ これが正解4ウエ
解説
ウとエが正しい。買戻しの10年経過の抹消は登記原因証明情報が要らない
登記原因証明情報(登記の原因となった事実や法律行為を証する情報)の内容と、提供を要しない場面について、不動産登記法・不動産登記令と先例で判断します。
アは誤りです。一定の期間の経過後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合に、取り壊す時に賃貸借が終了する旨を定めるときは、その事由を記載した書面ですればよく、公正証書に限られていません。イは誤りです。遺言書保管所に保管された遺言の遺言書情報証明書は、遺言の内容を証する情報としては使えますが、遺言者の死亡の事実を証する情報にはならず、死亡は戸籍などで別に証する必要があります。ウは正しく、不動産登記法第69条の2による買戻しの特約の登記の抹消を申請する場合は、不動産登記令第7条第3項第1号により登記原因証明情報の提供を要しません。契約の日から10年を経過したことは登記記録から分かるからです。エは正しく、仮登記を命ずる処分の決定に基づいて仮登記権利者が単独で仮登記を申請するときは、その決定書の正本を登記原因証明情報として提供します。オは誤りです。配偶者居住権の設定の登記の登記原因証明情報は、遺産分割の協議書や遺言書など配偶者居住権を取得した原因を証する情報であり、婚姻していたことを証する市町村長の情報の提供が求められているわけではないとされています。
したがって正しいのはウとエで、ウとエを選ぶ組合せが正解です。
登記原因証明情報は原因となった事実を示すもの、事実が登記記録から読み取れる場面(10年経過の買戻し)では提供を要しない、と原理から押さえると応用がききます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは取壊し予定の建物の賃借権で公正証書の謄本を必須とする点で、イは遺言書情報証明書で遺言者の死亡まで証せるとする点で、どちらも誤りです。
- 2アウ:アは誤りで、取り壊すべき事由を記載した書面であれば足ります。ウは10年経過の買戻しの抹消として正しい記述ですが、組合せとしては当たりません。
- 3イオ:イは死亡の事実を遺言書情報証明書で証せるとする点で、オは婚姻を証する情報の提供を必須とする点で、いずれも誤りです。
- 5エオ:オが外れます。配偶者居住権を設ける登記で示すのは、遺産分割や遺言といった権利を得た経緯であり、夫婦であったことを示す役所の書類までは求められていないとされます。
出典:令和6年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問16(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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