令和6年度 午前の部 問33
会社法・商法
持分会社に関する問題
持分会社に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 合同会社は、各事業年度に係る貸借対照表の作成後遅滞なく、当該貸借対照表を公告しなければならない。
イ 合資会社の有限責任社員は、労務や信用を出資の目的とすることはできない。
ウ 合名会社が合同会社となるためには、組織変更計画を作成しなければならない。
エ 法人が合同会社の業務を執行する社員である場合には、当該法人は、当該業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名及び住所を他の社員に通知しなければならない。
オ 既に合資会社に出資の履行をした有限責任社員は、当該合資会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合には、連帯して、当該合資会社の債務を弁済する責任を負う。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解4イエ
解説
イとエが正しい。持分会社どうしの変更は定款変更で、組織変更ではない
持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)について、貸借対照表の公告、出資の目的、種類の変更、法人の業務執行社員、有限責任社員の責任を確かめる問題です。定款に別段の定めはないものとして考えます。正しいものを選びます。
イは正しい記述です。会社法は、定款に記載する社員の出資の目的について、有限責任社員にあっては金銭等に限るとしています。有限責任社員の責任は出資の価額が限度になるので、評価の難しい労務や信用は認められません。エも正しい記述です。会社法第598条第1項は、法人が業務を執行する社員である場合には、その法人は業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名及び住所を他の社員に通知しなければならないと定めています。
アは誤りです。貸借対照表の公告義務(決算公告)は株式会社に課されたもので、合同会社には課されていません。ウも誤りです。合名会社・合資会社・合同会社の間で種類を変えることは、定款の変更による持分会社の種類の変更であり、組織変更ではありません。合名会社は、社員の全部を有限責任社員とする定款の変更をすることで合同会社となるので、組織変更計画は作りません。組織変更計画が必要なのは、株式会社と持分会社の間で会社の形を変える場合です。オも誤りです。会社法第580条第2項は、有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として持分会社の債務を弁済する責任を負うと定めています。出資の全部を履行済みなら、会社の債権者に弁済する責任は負いません。
したがって正しいのはイとエです。持分会社どうしの変更は定款の変更、株式会社との間の変更が組織変更、と線を引いて覚えると取り違えを防げます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アとウはどちらも誤りです。合同会社には貸借対照表の公告義務がなく、合名会社が合同会社になるのは定款の変更による種類の変更なので組織変更計画は作りません。
- 2アオ:アとオはどちらも誤りです。決算公告は株式会社の義務で合同会社にはなく、出資を履行し終えた有限責任社員は会社債務について重ねて弁済する責任を負いません。
- 3イウ:イの有限責任社員が労務や信用を出資できない点は正しいのですが、ウは合名会社から合同会社への変更に組織変更計画を求めており、定款の変更で足りるという仕組みと合いません。
- 5エオ:エの法人の業務執行社員による職務執行者の選任と通知は条文どおりですが、オは出資を済ませた有限責任社員にも会社債務の連帯責任を負わせており、未履行の出資額を限度とする定めと食い違います。
出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問33(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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