令和5年度 午前の部 問32
会社法・商法
持分会社に関する問題
持分会社に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 持分会社は、定款によっても、社員が事業年度の終了時に当該持分会社の計算書類の閲覧の請求をすることを制限する旨を定めることはできない。
イ 持分会社において、利益又は損失の一方についてのみ分配の割合についての定めを定款で定めたときは、その割合は、利益及び損失の分配に共通であるものと推定される。
ウ 持分会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
エ 合名会社の債権者は、当該合名会社の営業時間内は、いつでも、その計算書類の閲覧の請求をすることができる。
オ 合資会社が資本金の額を減少する場合には、当該合資会社の債権者は、当該合資会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができる。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解5エオ
解説
債権者の計算書類閲覧と資本金減少の異議は合同会社だけで、エ・オが誤り
持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の計算と債権者保護について、会社法第614条以下の規定で判断します。合同会社にだけ置かれた規定を、合名会社・合資会社に当てはめていないかが見分けどころです。誤っているものを2つ選びます。
アは正しい記述です。会社法第618条第1項は社員の計算書類の閲覧・謄写請求を定め、同条第2項は、定款で別段の定めをすることを妨げないとしつつ、ただし書で、定款によっても社員が事業年度の終了時に請求することを制限する旨を定めることができないとしています。
イも正しい記述です。第622条第2項は、利益又は損失の一方についてのみ分配の割合を定款で定めたときは、その割合は利益及び損失の分配に共通であるものと推定すると定めています。ウも正しく、第615条第2項は、持分会社は会計帳簿の閉鎖の時から10年間、会計帳簿及び事業に関する重要な資料を保存しなければならないと定めています。
エは誤りです。第625条は、合同会社の債権者は営業時間内はいつでも計算書類(作成した日から5年以内のもの)の閲覧等を請求できると定めています。これは社員が有限責任しか負わない合同会社のための規定で、無限責任社員がいる合名会社の債権者には認められていません。
オも誤りです。第627条第1項は、合同会社が資本金の額を減少する場合に、債権者が異議を述べることができると定めています。合資会社には無限責任社員がいるので、資本金の額の減少について債権者の異議手続は設けられていません。
したがって、エとオを選ぶ組合せが正解です。持分会社の問題では、その規定が合同会社に限られていないかを、条文の主語を確かめて判断すると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アとウを選ぶ組合せですが、事業年度の終了時の閲覧請求は定款でも制限できないとするアも、会計帳簿と重要資料の10年間保存を定めたウも条文どおりで、誤りが含まれていません。
- 2アオ:アとオを選ぶ組合せです。オは合同会社に限られる資本金減少の異議を合資会社に認めていて誤りですが、アは第618条第2項ただし書どおりの正しい記述なので、組合せとして合いません。
- 3イウ:イとウを選ぶ組合せです。損益の一方だけの割合の定めを共通と推定するイも、帳簿の10年間保存を定めるウも正しい記述で、誤っているものの組合せにはなりません。
- 4イエ:イとエを選ぶ組合せです。エは合同会社の債権者にだけ認められる計算書類の閲覧を合名会社の債権者に広げていて誤りですが、イは第622条第2項どおりで正しい記述です。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問32(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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