令和6年度 午前の部 問32
会社法・商法
清算人に関する問題
株主総会の決議によって解散したことにより清算が開始した場合に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 清算人は、清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
イ 裁判所が選任した清算人は、重要な事由があるときは、株主総会の決議によって解任することができる。
ウ 裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人会設置会社でない清算株式会社の清算人に代わって当該清算株式会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料を保存する者を選任することができる。
エ 清算株式会社は、会計監査人を置くことができる。
オ 清算株式会社の特別支配株主は、特別支配株主の株式等売渡請求をすることができない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5ウオ
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✓ これが正解4イエ
解説
イとエが誤り。裁判所選任の清算人は総会で解任できず、会計監査人も不可
株主総会の決議による解散で清算が始まった株式会社(清算株式会社)について、清算人の義務と解任、帳簿資料の保存者、置くことのできる機関、特別支配株主の株式等売渡請求を確かめる問題です。誤っているものを選びます。
アは正しい記述です。清算人は、清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならないとされています。ウも正しい記述です。清算人会設置会社でない清算株式会社では清算人が清算結了の登記の後も帳簿や重要な資料を保存しますが、裁判所は利害関係人の申立てにより、清算人に代わって保存する者を選任することができます。オも正しい記述です。清算株式会社については、特別支配株主の株式等売渡請求の規定は適用されないとされています。清算の目的は財産の換価と分配なので、株主を入れ替える仕組みは必要ないからです。
イは誤りです。会社法第479条第1項は、清算人はいつでも株主総会の決議によって解任することができるとしつつ、裁判所が選任したものをその対象から除いています。裁判所が選任した清算人は、重要な事由があるときに一定の株主の申立てにより裁判所が解任することになります(同条第2項)。エも誤りです。会社法第477条第2項は、清算株式会社は定款の定めによって清算人会、監査役又は監査役会を置くことができるとしており、会計監査人は挙げていません。同条第7項は、株主総会以外の機関の設置に関する第四章第二節の規定を清算株式会社に適用しないとしています。
したがって誤っているのはイとエです。清算株式会社に置ける機関は清算人会・監査役・監査役会だけ、裁判所が選んだ清算人は総会では解任できない、と押さえておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アエ:エは清算株式会社が会計監査人を置けるとする点で誤りですが、アの債務超過が明らかになったときに清算人が直ちに破産手続開始の申立てをする義務は正しいので、アを誤りとする点が違います。
- 2アオ:アとオはどちらも正しい記述です。財産で債務を完済できないと明らかになれば清算人は破産の申立てをしなければならず、清算株式会社では株式等売渡請求の制度は使えません。
- 3イウ:イは裁判所が選任した清算人も総会の決議で解任できるとする点で誤りですが、ウの裁判所が帳簿資料の保存者を選任できるという記述は正しいため、ウを誤りとする点が合いません。
- 5ウオ:ウとオはどちらも会社法どおりの正しい記述です。清算人に代わる帳簿資料の保存者は利害関係人の申立てで裁判所が選任でき、特別支配株主の売渡請求は清算株式会社には及びません。
出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問32(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
同じ用語が出る問題
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