令和4年度 午前の部 問30
会社法・商法
株主総会に関する問題
株主総会又は取締役会に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 株主総会は、株主の全員の同意がある場合には、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができる旨が定められているときであっても、招集の手続を経ることなく開催することができる。
イ 会社法上の公開会社でない株式会社において、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができる旨を定めたときは、取締役は、株主総会の日の2週間前までに、株主に対して招集の通知を発しなければならない。
ウ 取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなされる。
エ 監査役設置会社においては、株主は、取締役が法令又は定款に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、取締役会の招集を請求することができる。
オ 代表取締役は、取締役の全員に対して自己の職務の執行の状況を報告すれば、これを取締役会に報告することを要しない。
- 1アイ
- 2アエ
- 3イウ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解3イウ
解説
イとウが正しく、ア・エ・オは招集や報告の省略の要件と違います。
株主総会の招集手続の省略・招集通知の期限・報告の省略、取締役会の招集請求・報告の省略について、会社法の条文で判断する問題です。冊子の注記により、定款に別段の定めはないものとして考えます。
イは正しい記述です。会社法第299条第1項は、招集通知を株主総会の日の2週間前までに発しなければならないとし、公開会社でない株式会社は1週間前までとしつつ、括弧書で、書面による議決権行使(前条第1項第3号)や電磁的方法による議決権行使(同項第4号)を定めたときはこの短縮から除いています。したがって書面投票を定めた非公開会社でも2週間前までに発しなければなりません。ウも正しく、会社法第320条は、取締役が株主全員に報告事項を通知し、株主全員が書面又は電磁的記録で報告を要しないことに同意したときは、株主総会への報告があったものとみなすとしています。
アは誤りです。会社法は、株主全員の同意があるときは招集の手続を経ずに株主総会を開催できるとしつつ、書面又は電磁的方法による議決権行使を定めた場合はこの省略を認めていません。書面投票をする株主には、招集通知とともに参考書類や議決権行使書面を届ける必要があるからです。エも誤りで、株主が取締役会の招集を請求できるのは、監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社のいずれでもない取締役会設置会社に限られます。監査役設置会社では監査役が取締役を監督するので、株主の招集請求権はありません。オも誤りです。会社法は、取締役会への報告を取締役全員への通知で省略できる場合を認めていますが、代表取締役などが3か月に1回以上行うべき自己の職務の執行の状況の報告は、この省略の対象から除いています。
したがって、正しいものはイとウです。株主総会は報告も招集も全員の同意で省略できるが書面投票があれば招集は省略不可、取締役会の職務執行状況の報告は省略不可、と例外を対にして覚えると判断できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:イは正しいものの、アが入っています。書面で議決権を行使できると定めた株主総会では、株主全員が同意しても招集の手続を省くことは認められないので、アは誤りです。
- 2アエ:アは書面投票の定めがあっても招集を省けるとしている点で、エは監査役設置会社の株主に取締役会の招集請求を認めている点で誤りです。この組合せは正しいものを含みません。
- 4ウオ:ウは正しいものの、オが入っています。代表取締役が定期的に行う職務の執行の状況の報告は、取締役全員に知らせても取締役会での報告を省くことはできません。
- 5エオ:エもオも誤りです。株主が取締役会の招集を求められるのは監査役などを置かない会社に限られ、代表取締役の職務執行状況の報告は取締役会の場で行う必要があります。
出典:令和4年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問30(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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