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令和6年度 午前の部 問7

民法

占有に関する問題

次の対話は、占有に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。

教授: 今日は、占有者の善意・悪意について考えてみましょう。占有者については、占有の態様等に関して、どのような推定がされますか。

学生:ア 占有者は、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定されますが、占有者が善意であることは推定されません。

教授: 占有物から生ずる果実の収取について考えてみましょう。悪意の占有者は、果実の収取を怠った場合には、その果実の代価を償還する義務を負いますか。

学生:イ 収取を怠った果実の代価を償還する義務を負いません。

教授: 占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときにおける占有者の損害賠償の範囲について考えてみましょう。所有の意思のない善意の占有者は、どの範囲で賠償する義務を負いますか。

学生:ウ 損害の全部の賠償をする義務を負います。

教授: 善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、いつから悪意の占有者とみなされますか。

学生:エ 占有を始めた時にさかのぼって悪意の占有者とみなされます。

教授: 相続が発生した場合の取得時効についても考えてみましょう。相続人である占有者は、その選択に従い、被相続人の占有に自己の占有を併せて主張することもできます。では、占有を始めた時に悪意であった相続人が占有を始めた時に善意であった被相続人を相続した場合において、その相続人が被相続人の占有を併せて主張するときは、取得時効の要件としての占有者の善意・悪意は、どのように判定されますか。

学生:オ 被相続人の占有を併せて主張する場合には、相続人が占有を始めた時に悪意であっても、善意と判定されます。

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✓ これが正解4ウオ

解説

ウとオが正しい。善意は推定され、悪意の擬制は訴え提起の時から

占有の推定、果実の取扱い、滅失・損傷の責任、本権の訴えに敗れた善意の占有者、占有の併合と善意・悪意の判定を、条文と判例で確かめる問題です。正しいものを選びます。

ウは正しい記述です。民法は、占有物が占有者の責めに帰すべき事由で滅失・損傷したとき、善意の占有者は現に利益を受けている限度で賠償すればよいとしつつ、所有の意思のない占有者は善意であっても損害の全部を賠償しなければならないと定めています。オも正しい記述です。判例は、占有者が前の占有者の占有を併せて主張する場合には、善意・無過失はその前の占有者の占有開始の時点で判定すればよいとしています。そのため、被相続人が占有開始時に善意であれば、相続人自身が悪意でも善意と判定されます。

アは誤りです。民法第186条第1項は、占有者は所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定すると定めており、善意も推定されます。イも誤りです。民法第190条第1項は、悪意の占有者は果実を返還し、かつ既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負うとしています。エも誤りです。民法第189条第2項は、善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなすとしています。占有を始めた時にさかのぼるのではありません。

したがって正しいのはウとオです。占有の推定には善意が含まれるが無過失は含まれない、という一点もあわせて覚えると、関連する問題で迷いにくくなります。

ほかの選択肢はなぜ違うのか

出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問7(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。

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