令和8年度 午後の部 問19
不動産登記法
賃借権に関する問題
賃借権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 先順位抵当権に優先する同意の登記をした賃借権の賃料が減額された場合において、当該賃借権の変更の登記を申請するときは、当該先順位抵当権者は、当該賃借権の変更の登記についての登記上の利害関係を有する第三者に当たる。
イ 賃借権の設定の登記を申請する場合において、賃貸借契約に一定の時期に賃料の前払をする旨が定められているときであっても、その旨を申請情報の内容とすることはできない。
ウ 事業用定期借地権である賃借権が譲渡された場合において、賃借権の移転の登記を申請するときは、添付情報として賃借権の譲渡契約に係る公正証書の謄本等又はこれに代わるべき裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
エ 建物の賃借権の設定の登記を申請する場合において、賃貸借契約に賃料の月額が「固定資産税評価額に1000分の3を乗じた額」と定められているときは、その旨を申請情報の内容とすることができる。
オ 建物の賃借権の設定の登記を申請する場合において、賃貸借契約に敷金が定められているときであっても、その旨を申請情報の内容とすることはできない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イオ
- 5ウエ
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✓ これが正解1アエ
解説
アとエが正しい。前払の定めと敷金は登記事項、移転に謄本は不要
賃借権の登記事項(不動産登記法第81条)と、変更の登記の利害関係人、移転の登記の添付情報について判断する問題です。
アは正しい記述です。先順位抵当権に優先する同意の登記がされた賃借権は、抵当権が実行されても買受人に対抗できます。賃料が減額されると、賃借権付きで売却される不動産の価値が下がるので、その抵当権者は賃借権の変更の登記について登記上の利害関係を有する第三者に当たるとされています。イは誤りです。第81条第2号は、存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときはその定めを登記事項としており、一定の時期に賃料を前払する旨の定めもこれに当たるので、申請情報の内容にできます。ウは誤りです。事業用定期借地権の公正証書の謄本などを提供するのは設定の登記のときで、すでに登記された賃借権の移転の登記では要しないとされています。
エは正しい記述です。賃料は確定額でなくても、固定資産税評価額に一定の割合を乗じた額のように算定方法が定まっていればよく、その旨を登記できるとされています。オは誤りです。第81条第4号は、敷金があるときはその旨を登記事項としています。
したがって、正しいのはアとエです。賃借権の登記事項は第81条に列挙されているので、賃料・支払時期・敷金などを条文で一度確かめておくと、記述の正誤を判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2アオ:アの判断は合っていますが、オが誤りです。敷金は賃借権の登記事項として不動産登記法に掲げられており、契約に定めがあれば申請情報に含められます。
- 3イウ:この二つはどちらも誤りです。前払の定めは賃料の支払時期の定めとして登記でき、事業用定期借地権を譲渡したときの移転の登記に公正証書の謄本などは求められません。
- 4イオ:この二つはどちらも誤りです。賃料を前払する旨も、敷金がある旨も、どちらも賃借権の設定の登記で申請情報に含めることができる事項です。
- 5ウエ:エの判断は合っていますが、ウが誤りです。公正証書で契約したかどうかは設定の段階で確かめれば足り、賃借権を譲渡したことによる移転の登記ではその謄本は要りません。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問19(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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