令和8年度 午後の部 問9
供託法
弁済供託に関する問題
弁済供託に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 債権者が弁済を受領することができない場合において、弁済者が債権者のために弁済の目的物を供託したときは、その債権は、債権者がその供託物の還付を受けた時に消滅する。
イ 債務者は、債権者の反対給付を受けて弁済をすべき場合には、債権者からその反対給付を受ける前であっても、供託書にその反対給付の内容を記載して、その債務について供託をすることができる。
ウ 弁済者は、供託によって質権が消滅した場合であっても、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、供託物を取り戻すことができる。
エ 賃料の支払日が「毎月末日まで」とされている建物の賃貸借契約において、賃借人が令和8年6月15日に同月分の賃料につき弁済の提供をしたものの、賃貸人がその受領を拒んだときは、賃借人は、同月分の賃料につき、受領拒絶を原因とする弁済供託をすることができる。
オ 譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡された場合において、その債権の全額に相当する金銭を供託した債務者は、譲渡人に供託の通知をすることを要しない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5ウオ
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✓ これが正解4イエ
解説
イとエが正しい。債権は供託時に消滅し、担保消滅後は取戻し不可
弁済供託の効果と要件、譲渡制限の意思表示がされた債権の供託について、民法と供託の実務で判断する問題です。
アは誤りです。民法第494条第1項後段は、弁済者が供託をした時にその債権は消滅すると定めています。債権者が還付を受けた時ではありません。イは正しい記述です。債権者の反対給付と引換えに弁済すべき場合には、反対給付の内容を供託書に記載して供託することができ、債権者は反対給付をしたことを証明しなければ還付を受けられないと扱われています。ウは誤りです。民法第496条第1項は、債権者が供託を受諾しない間などは供託物を取り戻せるとしていますが、第2項は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合にはこれを適用しないと定めています。
エは正しい記述です。支払日が毎月末日までとされていても、期限の利益は通常債務者のためにあるので、賃借人は期限前に弁済の提供をすることができます。賃貸人が受領を拒めば、受領拒絶を原因とする弁済供託ができます。オは誤りです。民法第466条の2第2項は、譲渡制限の意思表示がされた金銭債権の全額を供託した債務者は、遅滞なく譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならないと定めています。
したがって、正しいのはイとエです。債権が消えるのは供託をした時、質権や抵当権が消えた後は取戻しができない、と条文の結論を組にして覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アエ:エは正しいものの、アは誤りです。弁済供託をすると、債権者が還付を受けるのを待たず、供託をした時点で債権は消滅します。
- 2アオ:アもオも誤りです。債権は供託した時に消滅し、譲渡制限特約付きの債権を供託した債務者は譲渡人と譲受人の双方へ通知する義務を負います。
- 3イウ:イは正しいものの、ウは誤りです。供託によって質権が消えた場合には、債権者が受諾していなくても弁済者は供託物を取り戻せなくなります。
- 5ウオ:ウもオも誤りです。質権が消滅するような供託は取り戻せず、譲渡制限特約付きの債権を供託したときは譲渡人にも通知しなければなりません。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問9(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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