令和7年度 午後の部 問10
供託法
供託法に関する問題
供託官の審査等に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 供託申請についての供託官の審査の対象は、手続的要件に限られるものではなく、提出された供託書及び添付書類に基づいて判断し得る限りにおいて、実体的要件にも及ぶ。
イ 供託官は、供託申請があった場合において、供託書に記載された供託の原因たる事実の存否について疑いがあるときは、申請者に対し、当該事実を証明する書面の提出を求めることができる。
ウ 金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託するときは、供託書に、執行裁判所の差押命令の謄本を添付しなければならない。
エ 供託物払渡請求書に利害関係人の承諾書を添付する場合には、当該承諾書に押された利害関係人の印鑑について印鑑証明書を併せて添付しなければならない。
オ 被供託者をA又はBとして債権者不確知を原因とする弁済供託がされ、Aが供託物の払渡しの請求をした場合において、供託官が、一定の期間を定めてBに対して当該供託物の払渡しに異議があれば申し出るべき旨を通知し、当該期間が経過したときは、Aは、還付を受ける権利を有することを証する書面を添付することなく、供託物の払渡しを受けることができる。
- 1アイ
- 2アエ
- 3イウ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解2アエ
解説
アとエが正しく、イ・ウ・オは供託官の審査や添付書面の扱いと違う
供託官の審査権の範囲と、供託・払渡しの際の添付書面について、判例と供託規則の扱いで判断する問題です。
アは正しい記述です。判例は、供託官の審査は形式的審査にとどまるものの、その対象は手続的要件に限られず、提出された供託書や添付書類から判断できる限りで実体的要件にも及ぶとしています。イは誤りです。供託官は書面による審査をするのであり、供託の原因たる事実の存否に疑いがあるからといって、その事実を証明する書面の提出を申請者に求めることはできません。疑問があれば受理するかどうかを書面の範囲で判断することになります。
ウは誤りです。金銭債権が差し押さえられて第三債務者が供託(執行供託)をする場合、差押命令の内容は供託書に記載すれば足り、差押命令の謄本の添付は求められていません。エは正しい記述です。払渡請求書に利害関係人の承諾書を添付するときは、その承諾書に押された印鑑の印鑑証明書も添付しなければなりません。承諾が本人の意思によるものかを書面で確かめるためです。オは誤りです。供託官が他方の被供託者に異議の有無を催告し、期間が過ぎれば払い渡すという仕組みはありません。債権者不確知供託の還付には、他の被供託者の承諾書や確定判決など、還付を受ける権利を有することを証する書面が必要です。
したがって、正しいのはアとエです。供託官は書面の範囲で実体まで見るが、調査や催告はしない、と線を引くと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは正しいものの、イが誤りです。供託官は出された書面の範囲で判断する立場にあり、原因事実を裏付ける書面を追加で出すよう申請者に求める権限はありません。
- 3イウ:イとウはどちらも誤りです。供託官は原因事実の証明書面を求められず、差押えを受けた第三債務者の供託でも差押命令の謄本を添付する必要はありません。
- 4ウオ:ウとオを選んでいますが、どちらも誤りです。執行供託に差押命令の謄本は要らず、不確知供託の還付では供託官の催告による簡易な払渡しは用意されていません。
- 5エオ:エは正しいですが、オが誤りです。もう一方の被供託者に異議を問い合わせる手続は無く、Aは承諾書や確定判決などで自分に還付請求権があることを示す必要があります。
出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問10(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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