過去問解きまくり研究所 ホーム

令和8年度 午後の部 問10

供託法

執行供託に関する問題

執行供託に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア AがBに対して有する100万円の金銭債権につき、Cから強制執行による差押え(差押金額60万円)がされた後、Cが提起した取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに、Dを差押債権者とする差押命令(差押金額30万円)の送達を受けたときは、Bは、当該金銭債権の全額に相当する100万円を供託しなければならない。

イ AがBに対して有する100万円の金銭債権につき、Cから強制執行による差押え(差押金額60万円)がされた後、Cが提起した取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに、Dを仮差押債権者とする仮差押命令(仮差押金額50万円)の送達を受けたときは、Bは、当該金銭債権の全額に相当する100万円を供託しなければならない。

ウ AがBに対して有する100万円の金銭債権につき、Cから強制執行による差押え(差押金額60万円)がされた後、Cが提起した取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに、D税務署長からの滞納処分による差押え(差押金額50万円)がされたときは、Bは、当該金銭債権の全額に相当する100万円を供託しなければならない。

エ AがBに対して有する100万円の金銭債権につき、Cから仮差押え(仮差押金額60万円)の執行がされた後、Dを仮差押債権者とする仮差押命令(仮差押金額50万円)の送達を受けたときは、Bは、当該金銭債権の全額に相当する100万円を供託しなければならない。

オ AがBに対して有する100万円の金銭債権につき、Cから仮差押え(仮差押金額60万円)の執行がされた後、D税務署長からの滞納処分による差押え(差押金額50万円)がされたときは、Bは、当該金銭債権の全額に相当する100万円を供託しなければならない。

答えと解説を見る

✓ これが正解3イウ

解説

イとウが正しい。差押えが先行し合計が債権額を超えると義務供託

金銭債権に差押えなどが重なったとき、第三債務者が供託しなければならない(義務供託)か、供託することができるにとどまる(権利供託)かを、民事執行法第156条と、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律(滞調法)で判断する問題です。

アは誤りです。差押金額は60万円と30万円で合計90万円となり、債権額100万円を超えません。第156条第2項の義務供託は、差し押さえられていない部分を超えて差押命令などが発せられた場合、つまり差押えが競合した場合に限られるので、この事例は同条第1項の権利供託にとどまります。イは正しい記述です。差押え60万円と仮差押え50万円の合計110万円は債権額を超えて競合するので、第156条第2項により債権の全額100万円の供託が義務になります。ウも正しい記述です。滞調法第36条の6第1項は、強制執行による差押えがされた後、取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに滞納処分による差押えがされたときは、第三債務者は債権の全額に相当する金銭を供託しなければならないと定めています。この場合は、差押金額の合計が債権額を超えるかどうかを問いません。

エは誤りです。仮差押えの執行どうしが重なっているだけの場合は、第三債務者は供託することができるにとどまると扱われています。オも誤りです。仮差押えの執行の後に滞納処分による差押えがされた場合も、第三債務者は全額を供託することができる(権利供託)とされています。

したがって、正しいのはイとウです。義務供託になるのは、強制執行による差押えが先にあり、そこに差押え・仮差押えが重なって債権額を超える場合と、滞納処分による差押えが後から加わった場合だ、と整理しておくと判断しやすくなります。

ほかの選択肢はなぜ違うのか

出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問10(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。

この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)