令和7年度 午後の部 問11
供託法
供託法に関する問題
供託物払渡請求権の処分等に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 供託者が、供託物取戻請求権を譲渡し、確定日付のない譲渡通知書を供託所に送付した場合には、供託官が当該通知に受付の旨及びその年月日時分を記載した後であっても、譲受人は、当該譲渡を供託所以外の第三者に対抗することができない。
イ 弁済供託の被供託者の債権者が供託物還付請求権を差し押さえた後は、供託者は、供託物の取戻しを請求することができない。
ウ 供託物払渡請求権に対する差押えが競合した場合には、供託物の払渡しは、供託官による事情の届出を受けた執行裁判所の配当等の実施としての支払委託に基づいてする。
エ 供託物払渡請求権の仮差押債権者は、当該供託物払渡請求権に係る供託を受諾することができる。
オ 被供託者の債権者が、債権者代位権に基づき、被供託者の有する供託物還付請求権を行使して自ら供託物を受領しようとする場合には、被供託者に対して債権を有する事実を証する書面及びその債権を保全する必要がある事実を証する書面を提出しなければならない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イエ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解4ウオ
解説
ウとオが正しく、ア・イ・エは払渡請求権の処分の扱いと違う
供託物払渡請求権(供託者の取戻請求権と被供託者の還付請求権)の譲渡・差押え・代位行使について、民法・民事執行法と供託の扱いで判断する問題です。
アは誤りです。確定日付のない譲渡通知書でも、供託官がこれに受付の旨と年月日時分を記載すると、官庁が日付を記入した証書として確定日付のある証書と同じ扱いになります。そのため譲受人は供託所以外の第三者にも譲渡を対抗できます。イも誤りです。還付請求権と取戻請求権は別個の権利です。被供託者の債権者が差し押さえたのは還付請求権にすぎず、被供託者が受諾したことにもならないため、供託者は取戻しを請求することができます。
ウは正しい記述です。払渡請求権に対する差押えが競合したときは、供託官が執行裁判所に事情を届け出て、執行裁判所の配当等の実施としての支払委託に基づいて払渡しがされます。エは誤りです。仮差押えは財産の現状を保全するための手続にとどまるので、仮差押債権者が供託を受諾することはできないと扱われています。受諾は取戻請求権を消滅させる処分にあたるからです。オは正しい記述です。債権者代位権に基づき還付請求権を行使して自ら受領する場合は、被供託者に対する債権の存在と保全の必要性を書面で示さなければなりません。
したがって、正しいのはウとオです。取戻請求権と還付請求権は別物、仮差押えは保全までで処分はできない、と押さえると判断できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイを選んでいますが、どちらも誤りです。受付の記載がされた通知は確定日付ある証書として扱われ、還付請求権が差し押さえられても供託者の取戻請求権は影響を受けません。
- 2アウ:ウは正しいものの、アが誤りです。供託官が受付の年月日時分を記載した時点で、その通知は確定日付のある証書と同視され、譲受人は第三者に対抗できるようになります。
- 3イエ:イとエはどちらも誤りです。還付請求権を差し押さえられても取戻しは妨げられず、仮差押債権者は保全の範囲を超える受諾をすることができません。
- 5エオ:オは正しいですが、エが誤りです。受諾は取戻請求権を失わせる処分にあたるため、現状を保全するだけの仮差押債権者にはそれをする権限がありません。
出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問11(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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