令和6年度 午後の部 問11
供託法
弁済供託に関する問題
供託物払渡請求権の消滅時効に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 受領拒絶を原因とする弁済供託における供託物還付請求権は、被供託者に供託の通知が到達した時から10年間行使しない場合には、時効によって消滅する。
イ 弁済供託の被供託者から供託所に対し、供託を受諾する旨を記載した書面が提出された場合であっても、供託物還付請求権の消滅時効の更新の効力を生じない。
ウ 供託物取戻請求権の消滅時効の更新の効力が生じた場合には、同一の供託に係る供託物還付請求権の消滅時効は、その時から新たに進行する。
エ 家賃の5か月分につき一括してされた弁済供託の1か月分の供託金について取戻請求があり、これが払い渡された場合には、他の4か月分の供託金取戻請求権の消滅時効は、その時から新たに進行する。
オ 供託者の請求により当該供託に関する書類の全部が閲覧に供された場合であっても、供託物取戻請求権の消滅時効の更新の効力を生じない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イエ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解3イエ
解説
イとエが正しい。時効を更新するのは供託所の承認にあたる行為
供託物払渡請求権(還付請求権と取戻請求権)の消滅時効について、民法の時効の更新(承認)と供託の先例で判断します。
アは誤りです。受領拒絶を原因とする弁済供託の還付請求権の消滅時効は、先例上、原則として供託の時から進行するとされ、被供託者に供託の通知が到達した時から数えるのではありません。イは正しく、被供託者が供託を受諾する旨の書面を出すのは権利者の側の行為にすぎず、債務者に当たる供託所の承認ではないので、還付請求権の時効は更新されません。ウは誤りです。還付請求権と取戻請求権は別個の権利なので、取戻請求権の時効が更新されても、還付請求権の時効にはその効力は及びません。エは正しく、先例は、数か月分の家賃を一括して供託した後に一部の取戻しの払渡しがされた場合、残りの部分についても供託所の承認があったものとして、その時から時効が新たに進行するとしています。オは誤りです。供託者の請求で供託に関する書類が閲覧に供されたときは、供託所が権利の存在を認めたものとして、取戻請求権の時効の更新の効力が生じるとされています。
したがって正しいのはイとエで、イとエを選ぶ組合せが正解です。
時効を更新するのは債務者に当たる供託所の承認と見られる行為(払渡し・閲覧・証明など)であり、権利者の側の行為だけでは更新しない、と軸を決めておくと判定しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは時効の起算点を被供託者への通知の到達時とする点で誤りです。ウも、取戻請求権の更新が還付請求権に及ぶとする点で誤りです。
- 2アウ:アは起算点を誤っており、ウは別個の権利である還付請求権と取戻請求権を一体に扱う点で誤りです。正しい記述を含みません。
- 4ウオ:ウは二つの請求権の時効を連動させる点で、オは書類の閲覧に更新の効力を認めない点で誤りです。閲覧は供託所の承認と見られます。
- 5エオ:エは一部の払渡しで残りの時効が新たに進むという正しい記述ですが、オは誤りです。供託者の請求による書類の閲覧で時効は更新されます。
出典:令和6年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問11(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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