令和7年度 午前の部 問31
会社法・商法
取締役会に関する問題
株式会社の計算等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 株式会社が準備金の額を減少する場合において、その減少する準備金の額の全部を資本金とするときは、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、準備金の額の減少について異議を述べることができる。
イ 取締役会設置会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときは、取締役会の決議により、資本金の額を減少することができる。
ウ 株式会社における資本金の額の減少の無効は、訴えをもってのみ主張することができる。
エ 取締役会設置会社は、取締役会の決議により、剰余金の額を減少して資本金の額を増加することができる。
オ 取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当をすることができる旨を定款で定めることができる。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解2アエ
解説
アとエが誤り。準備金の資本組入れに異議なし、剰余金の資本組入れは総会
株式会社の計算について、資本金・準備金・剰余金の額の変動と剰余金の配当に関する会社法の規定で判断する問題です。
アについて、準備金の額を減少する場合は原則として債権者が異議を述べることができますが、会社法は、減少する準備金の額の全部を資本金とする場合をこの債権者保護手続の対象から除いています。準備金を資本金に振り替えるだけで、会社財産の拘束はむしろ強まるからです。異議を述べることができるとするアは誤りです。イについて、第447条第3項は、株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合に、減少の効力発生日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときは、株主総会の決議に代えて、取締役会設置会社では取締役会の決議によることができるとしています。イは正しい記述です。
ウについて、第828条第1項第5号は、株式会社における資本金の額の減少の無効を、その効力が生じた日から6か月以内に訴えをもってのみ主張できる行為としています。ウは正しい記述です。エについて、第450条第1項は剰余金の額を減少して資本金の額を増加できるとし、第2項で、その事項の決定は株主総会の決議によらなければならないとしています。取締役会の決議でできるとするエは誤りです。オについて、第454条第5項は、取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(中間配当)をすることができる旨を定款で定められるとしています。オは正しい記述です。したがって、アとエの組合せが正解です。
資本金を増やすだけの手続は債権者を害しないが株主には関わる、という視点で、債権者保護手続と決議機関を分けて考えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは準備金の全額を資本金に組み入れる場合にも債権者異議を認める誤りですが、ウは資本金の額の減少の無効を訴えでのみ主張できるという正しい記述です。ウではなくエを選びます。
- 3イエ:エは剰余金の資本組入れを取締役会で決められるとする誤りですが、イは株式発行と同時の減資で資本金が減らない場合に取締役会決議でよいとする正しい記述です。
- 4イオ:イは第447条第3項の特例、オは定款の定めによる中間配当を述べたもので、どちらも条文どおりの正しい記述です。誤っている記述を含みません。
- 5ウオ:ウは資本金の額の減少の無効の訴え、オは年一回の中間配当の定款規定で、いずれも正しい記述です。誤っているのは、債権者異議のアと決議機関を誤るエです。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問31(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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