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令和7年度 午後の部 問30

商業登記法

株式に関する問題

株式の譲渡制限に関する規定の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

〔冊子の注記〕第28問から第35問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。

ア 株式の譲渡制限に関する規定として「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を受けなければならない。ただし、当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては取締役会が承認をしたものとみなす。」と定款に定めて登記している会社が、当該規定中ただし書を削除する旨の定款の変更をした場合において、現に株券を発行しているときは、株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記の申請書には、株券提供公告をしたことを証する書面を添付しなければならない。

イ 株式の譲渡制限に関する規定として「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を受けなければならない。」と定款に定めて登記している会社が、「ただし、当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては取締役会が承認をしたものとみなす。」とのただし書を追加する旨の定款の変更をした場合には、株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記の申請書には、当該定款の変更が、株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上であって、当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって可決された旨の株主総会の議事録を添付しなければならない。

ウ 株式の譲渡制限に関する規定として「当会社の株式を譲渡により取得するには当会社の承認を受けなければならない。」と定款に定めて登記することはできない。

エ 取締役会設置会社でない会社において、株式の譲渡制限に関する規定として「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役の過半数の承認を受けなければならない。」と定款に定めて登記することができる。

オ 会社法上の公開会社でない監査役会設置会社が株式の譲渡制限に関する規定を廃止する旨の定款の変更をした場合には、役員の任期満了による退任の登記をもしなければならない。

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✓ これが正解3イウ

解説

イとウが誤り。緩和は特別決議で足り、当会社の承認とする定めも登記可

株式の譲渡制限に関する規定の設定・変更・廃止の登記について、会社法と商業登記法・先例で判断する問題です。定款に別段の定めがない前提です。

アは正しい記述です。株主間の譲渡を承認したとみなすただし書を削ると、株主間の譲渡にも承認が必要になり、譲渡制限の範囲が広がります。これは譲渡制限の定めの設定と同じ性質を持つと扱われ、商業登記法第62条により、株券発行会社は株券提供公告をしたことを証する書面を添付しなければなりません。イは誤りです。ただし書を加えるのは制限を緩める変更なので、通常の定款変更と同じ株主総会の特別決議で足ります。議決権を行使できる株主の半数以上かつその議決権の3分の2以上という特殊決議は、譲渡制限を新たに設ける場合のものです。

ウは誤りです。会社法第107条第2項第1号イは、譲渡制限株式の内容を、当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨と定めています。承認機関を明示せず当会社の承認とする定めも有効で、登記することができます。この場合の承認機関は法律の定めによって決まります。エは正しい記述です。承認機関は定款で別に定めることができ、取締役会設置会社でない会社が取締役の過半数の承認とすることも認められています。オも正しい記述です。公開会社でない会社が譲渡制限を廃止して公開会社になると、役員の任期は定款変更の効力発生時に満了するので、退任の登記もしなければなりません。

したがって、誤っているのはイとウです。制限を強める変更は設定と同じ扱い、緩める変更は通常の定款変更、と方向で分けると判断できます。

ほかの選択肢はなぜ違うのか

出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問30(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。

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