令和7年度 午前の部 問34
会社法・商法
会社分割に関する問題
吸収分割に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア 吸収分割承継株式会社は、吸収分割の登記をした日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割株式会社の権利義務を承継する。
イ 吸収分割株式会社は、吸収分割承継株式会社との合意により、吸収分割の効力発生日を変更することができる。
ウ 吸収分割承継株式会社の債権者は、当該吸収分割承継株式会社に対し、吸収分割について異議を述べることができない。
エ 吸収分割承継株式会社は、吸収分割の効力発生日後は、吸収分割契約の内容を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置くことを要しない。
オ 吸収分割の効力発生日において吸収分割契約をした吸収分割株式会社の取締役であった者は、吸収分割の無効の訴えを提起することができる。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イウ
- 4イオ
- 5エオ
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✓ これが正解4イオ
解説
イとオが正しい。承継は効力発生日、承継会社の債権者も異議可
吸収分割について、会社法の組織再編の規定で判断する問題です。
アについて、会社法第759条第1項は、吸収分割承継株式会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継すると定めています。吸収分割は吸収分割契約で定めた効力発生日に効力を生じ、登記の日ではないので、アは誤りです。イについて、第790条第1項は、消滅株式会社等は存続会社等との合意により効力発生日を変更することができるとしており、吸収分割株式会社もここに含まれます。イは正しい記述です。
ウについて、第799条第1項第2号は、吸収分割をする場合には吸収分割承継株式会社の債権者は存続株式会社等に対し異議を述べることができるとしています。承継会社は分割会社の債務を引き受けるので、その債権者にも異議の機会が与えられます。ウは誤りです。エについて、第794条第1項は、吸収分割承継株式会社などは、備置開始日から効力発生日後6か月を経過する日までの間、吸収分割契約の内容などを記載した書面または電磁的記録を本店に備え置かなければならないとしています。効力発生日後は備え置かなくてよいとするエは誤りです。オについて、第828条第2項第9号は、吸収分割の無効の訴えは、効力が生じた日において吸収分割契約をした会社の株主等であった者などが提起できるとしています。株主等には取締役が含まれるので、オは正しい記述です。したがって、イとオの組合せが正解です。
吸収型の組織再編は登記の日ではなく契約で定めた効力発生日に効力を生じる、という点を軸に整理しましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは登記の日に権利義務を承継するとする点、ウは承継会社の債権者に異議を認めない点で、どちらも条文と食い違う誤った記述です。正しいのはイとオです。
- 2アエ:アは承継の時期を登記の日とする点、エは効力発生日後の事前開示書面の備置きを不要とする点で、いずれも誤りです。正しい記述を一つも含みません。
- 3イウ:イは正しい記述です。ウは誤りで、分割によって債務を引き継ぐ側の会社の債権者も、引き継ぐ債務の分だけ不利益を受けうるため、異議の手続の対象になります。
- 5エオ:オは分割会社の取締役であった者が無効の訴えを起こせるという正しい記述ですが、エは効力発生日後も6か月間は書面の備置きが必要な点を見落とした誤りです。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問34(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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