令和5年度 午前の部 問27
会社法・商法
株式会社に関する問題
次の対話は、株式会社の設立に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕第27問から第34問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
教授: 今日は、株式会社の設立に関する会社法の規定について検討しましょう。まず、会社法上、株式会社の設立時の資本金の最低額についての規定はありますか。
学生:ア はい。株式会社の設立時の資本金の額は、300万円を下回ることはできません。
教授: ところで、法人や未成年者は、発起人となることができるでしょうか。
学生:イ 会社法上、法人は、発起人となることができますが、未成年者は、発起人となることはできません。
教授: 発起設立の場合には、発起人は、割当てを受けた設立時発行株式について、現物出資をすることができますが、募集設立の場合はどうでしょうか。
学生:ウ 会社法上、募集設立の場合には、発起人でない設立時募集株式の引受人は、割当てを受けた設立時募集株式について、現物出資をすることはできません。
教授: それでは、払込金の保管証明について、発起設立の場合と募集設立の場合とで異なる点はありますか。
学生:エ 会社法上、発起人は、発起設立の場合も、募集設立の場合も、払込取扱機関に対し、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができます。
教授: 最後に、会社法上、株式会社の成立についてはどのように規定されていますか。
学生:オ 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立するものとされています。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イエ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解4ウオ
解説
ウは募集株式は金銭のみ、オは設立登記で成立で正しく、他は誤り
株式会社の設立について、会社法の規定で判断します。正しい学生の解答を2つ選びます。
アは誤りです。会社法には、設立時の資本金の額の最低額を定める規定はありません。かつての最低資本金制度は会社法の制定とともになくなり、資本金1円でも設立できます。
イも誤りです。会社法は発起人の資格を制限していないので、法人も未成年者も発起人になることができます。未成年者の場合は、法定代理人の同意など民法の行為能力の規律に従います。
ウは正しい解答です。現物出資(金銭以外の財産による出資)ができるのは発起人に限られます。会社法第63条第1項は、設立時募集株式の引受人は、払込みの期日又は期間内に、払込みの取扱いの場所において、設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならないと定めており、発起人でない引受人は金銭で払い込むことになります。
エは誤りです。払込金の保管証明の交付請求を定めた第64条第1項は、第57条第1項の募集をした場合、つまり募集設立の場合に限った規定です。発起設立では、預金通帳の写しなど別の方法で払込みを証明でき、保管証明は求められていません。
オは正しい解答です。第49条は、株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立すると定めています。
したがって、ウとオを選ぶ組合せが正解です。募集設立にだけある手続(保管証明・創立総会)と、発起人にだけ認められること(現物出資)を一覧にして覚えると、設立の問題で迷いにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイを選ぶ組合せですが、会社法には設立時の資本金の最低額の規定がないのでアは誤り、未成年者も発起人になれるのでイも誤りで、正しい解答が含まれていません。
- 2アウ:アとウを選ぶ組合せです。ウは発起人でない引受人が現物出資できないという点で正しいのですが、アは資本金に300万円の下限があるとしていて、最低資本金のない会社法と合いません。
- 3イエ:イとエを選ぶ組合せです。未成年者は発起人になれないとするイも、発起設立でも保管証明の交付を請求できるとするエも、会社法の規定とずれているので、どちらも誤りです。
- 5エオ:エとオを選ぶ組合せです。オは本店所在地での設立の登記で会社が成立する第49条どおりで正しいものの、エは募集設立に限られる保管証明を発起設立にも広げていて誤りです。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問27(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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