令和8年度 午後の部 問1
民事訴訟法
固有必要的共同訴訟に関する問題
共同訴訟に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 土地の共有者の一人が、当該土地が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、当該土地の共有持分権を有することの確認を求める訴えに係る訴訟には、当該土地の共有者全員が当事者として関与しなければならない。
イ 遺産確認の訴えに係る訴訟には、共同相続人全員が当事者として関与しなければならない。
ウ 必要的共同訴訟において、請求原因事実について、共同被告の一人がこれを認める旨の陳述をし、他の共同被告がこれを否認しているときは、当該請求原因事実についての自白は、これを認める旨の陳述をした共同被告との関係においても、成立しない。
エ 固有必要的共同訴訟において、共同被告の一人に対する訴えを取り下げた場合には、当該共同被告の一人に対して訴えの取下げの効力が生ずる。
オ 必要的共同訴訟における控訴期間は、全ての共同訴訟人につき、共同訴訟人に対する判決書の送達日のうち最も遅い日から進行する。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解3イウ
解説
イとウが正しく、ア・エ・オは判例の扱いと逆です。
共同訴訟のうち、関係者全員がそろわないと訴えが不適法になる固有必要的共同訴訟に当たるか、また合一確定が必要な訴訟で一人の訴訟行為がどう扱われるかを、民事訴訟法第40条と判例で判断する問題です。
アは誤りです。共有持分権は各共有者がそれぞれ単独で持つ権利なので、自分の持分権の確認を求める訴えは各共有者が単独で提起できるとするのが判例です。共有者全員が当事者になる必要はありません。イは正しい記述です。判例は、ある財産が遺産に属することの確認を求める遺産確認の訴えを、共同相続人全員が当事者となるべき固有必要的共同訴訟としています。ウも正しい記述です。第40条第1項は、合一にのみ確定すべき場合には、一人の訴訟行為は全員の利益においてのみ効力を生ずると定めています。自白は不利な行為なので、他の被告が否認していれば、認める陳述をした被告との関係でも自白は成立しません。
エは誤りです。判例は、固有必要的共同訴訟では共同被告の一人に対する訴えの取下げは効力を生じないとしています。一人だけを外すと、全員がそろうべき訴えの形が崩れてしまうからです。オも誤りです。控訴期間は共同訴訟人ごとに、それぞれへの判決書の送達の日から進行すると扱われており、最も遅い送達日にそろえて進行するわけではありません。
したがって、正しいのはイとウです。全員がそろう必要がある訴訟では、不利な訴訟行為と一人だけに対する取下げは効力を持たない、とまとめて覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:ウは正しいものの、アは誤りです。持分権の確認は各共有者が自分の権利として単独で求められるので、共有者全員を当事者にそろえる必要はありません。
- 2アオ:アとオはどちらも誤りです。持分権確認の訴えは単独で提起でき、控訴期間も共同訴訟人ごとに自分への送達日から数えるので、最も遅い日にそろえる扱いではありません。
- 4イエ:イは正しいものの、エは誤りです。全員がそろうべき訴訟で被告の一人だけに対する取下げを認めると訴えが不適法な形になるため、判例はその取下げの効力を否定しています。
- 5エオ:エもオも誤りです。一人に対する取下げは効力を生じず、控訴期間は各自への判決書の送達から別々に進むので、どちらも判例や実務の扱いと反対の内容です。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問1(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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