令和7年度 午後の部 問4
民事訴訟法
書証に関する問題
書証に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 当事者が法令により文書の謄本の交付を求めることができる場合には、書証の申出は、文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることはできない。
イ 第三者に対してされた文書提出命令に対し、当該文書提出命令の申立人ではない本案事件の当事者は、即時抗告をすることができる。
ウ 私文書の作成名義人の印影が当該作成名義人の印章によって顕出されたものである場合には、当該印章が他の者と共有、共用されているときであっても、当該私文書は、真正に成立したものと推定される。
エ 当事者が相手方を作成名義人とする文書の成立の真否を筆跡の対照により証明する場合において、対照をするのに適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は、対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる。
オ 文書の所持者が正当な理由なく文書送付の嘱託に応じなかった場合には、裁判所は、決定で、過料に処することができる。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解2アエ
解説
アとエが正しく、イ・ウは判例と逆、オは制裁の規定が無い
書証(文書の記載内容を証拠とする証拠調べ)について、民事訴訟法の条文と判例で判断する問題です。
アは正しい記述です。民事訴訟法第226条は、文書送付の嘱託を申し立てて書証の申出をすることを認めつつ、ただし書で、当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合はこの限りでないとしています。自分で謄本を取り寄せられるなら、裁判所を通す必要がないからです。イは誤りです。判例は、第三者に対する文書提出命令について、申立人ではない本案事件の当事者は即時抗告をすることができないとしています。
ウは誤りです。私文書に本人の印章による印影があれば、本人の意思で押されたと事実上推定され、さらに真正な成立が推定されるという二段の推定がはたらきます。しかし判例は、印章を他の者と共有・共用していた場合には、本人の意思で押されたとの推定ははたらかないとしています。エは正しい記述です。民事訴訟法の規定により、対照に適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができます。オは誤りです。文書送付の嘱託は所持者の協力を求めるもので、応じなかったことに過料を科す規定はありません。
したがって、正しいのはアとエです。印章の共用は二段の推定の一段目を崩す、と覚えておくと判例問題で迷いにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは正しいものの、ウが誤りです。印章が共有・共用されていると、本人の意思で押印されたとは推し量れないため、判例は文書の真正な成立の推定を認めていません。
- 3イエ:エは正しいですが、イが誤りです。第三者あての文書提出命令について即時抗告できるのは命令を受けた者などで、申立人でない本案の当事者には即時抗告が認められないとするのが判例です。
- 4イオ:イとオを選んでいますが、どちらも誤りです。申立人でない本案の当事者は即時抗告できず、送付嘱託に応じない所持者を過料に処する根拠規定もありません。
- 5ウオ:ウとオの組合せで、どちらも誤りです。印章の共用があれば押印の推定ははたらかず、送付嘱託は協力を求めるにとどまるので応じなくても過料の制裁はありません。
出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問4(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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