令和5年度 午後の部 問2
民事訴訟法
通常共同訴訟に関する問題
共同訴訟に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 通常共同訴訟において、共同被告の一人が原告の主張する請求原因事実を認める旨の陳述をしたとしても、他の共同被告に対する請求との関係では、当該事実につき自白の効果は生じない。
イ 通常共同訴訟においては、共同被告の一人が提出した証拠につき、他の共同被告がこれを援用しない限り、その者に対する請求との関係では、事実認定の資料とすることはできない。
ウ 類似必要的共同訴訟においては、共同訴訟人の一人が控訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として控訴審に移審し、控訴審の判決の効力は控訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶ。
エ 共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告から同時審判の申出があったときは、裁判所は、弁論及び裁判を分離することができない。
オ 必要的共同訴訟に係る事件が適法に係属し、共同被告の一人がその本案について準備書面を提出した場合において、その共同被告の一人が訴えの取下げに同意をしたときは、共同被告の全員が同意をしなくても、同意をした者に対する関係で訴えの取下げの効力が生ずる。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イウ
- 4イオ
- 5エオ
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✓ これが正解4イオ
解説
イとオが誤り。証拠は共通、取下げの同意は全員が必要
共同訴訟では、通常共同訴訟の共同訴訟人独立の原則と、必要的共同訴訟の合一確定の規律、同時審判の申出がある共同訴訟の規律の違いを押さえて判断します。
アは正しいです。通常共同訴訟では各共同訴訟人の訴訟行為は他の者に影響しないので、一人の自白は他の共同被告との関係では効果を生じません。イは誤りです。判例は、共同訴訟人の一人が提出した証拠は、他の共同訴訟人が援用しなくても、その者についての事実認定の資料にできるとしています(共同訴訟人間の証拠共通)。ウは正しいです。類似必要的共同訴訟では、一人の控訴で原判決全体の確定が妨げられて全体が控訴審に移り、判決の効力は控訴しなかった者にも及びます。エは正しく、権利が法律上併存し得ない関係にある場合に原告から同時審判の申出があれば、弁論及び裁判は分離しないでしなければなりません。オは誤りです。判例は、固有必要的共同訴訟では、共同被告の一部に対する訴えの取下げは効力を生じないとしています。全員がそろって当事者でなければならない訴訟なので、一人が取下げに同意しても、その者との関係だけで訴訟を終わらせることはできません。
よって誤っているのはイとオです。独立の原則でも証拠だけは共通、必要的共同訴訟では不利な行為は全員そろって、と対比して覚えると整理できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アとウはどちらも正しい記述です。通常共同訴訟で一人の自白が他の被告に及ばないこと、類似必要的共同訴訟で一人の控訴により全体が移審することは、いずれも条文・判例どおりです。
- 2アエ:アとエはともに正しい記述です。同時審判の申出があると弁論と裁判を分けられないのは条文の定めどおりで、自白の効果が他の共同被告に及ばない点も独立の原則に沿っています。
- 3イウ:イは誤りですが、ウは正しい記述です。類似必要的共同訴訟では控訴しなかった共同訴訟人についても原判決の確定が妨げられ、控訴審判決の効力が及ぶので、ウを誤りとは言えません。
- 5エオ:オは誤りですが、エは正しい記述です。権利が法律上両立しない関係にある二人の被告について原告が同時審判を申し出たときは、裁判所は弁論と裁判を分けることができません。
出典:令和5年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問2(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
同じ用語が出る問題
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