令和7年度 午後の部 問2
民事訴訟法
判例に関する問題
次の対話は、裁判上の自白に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
教授: まずは、自白の拘束力について考えてみましょう。事実についての自白のうち、裁判所を拘束しないものはありますか。
学生:ア 間接事実についての自白は、裁判所を拘束しません。
教授: 書証の成立の真正についての自白は、どうですか。
学生:イ 書証の成立の真正についての自白は、裁判所を拘束します。
教授: 次に、裁判上の自白が成立する場面について考えてみましょう。弁論準備手続の期日において、裁判上の自白は、成立しますか。
学生:ウ 主要事実に関する陳述がされた場合であっても、弁論準備手続の期日においては、裁判上の自白は、成立しません。
教授: 本人尋問においては、どうですか。
学生:エ 当事者の供述が相手方の主張する自己に不利益な事実を認めるものである場合には、裁判上の自白が成立します。
教授: 最後に、自白の撤回について考えてみましょう。裁判上の自白が成立した場合において、相手方の同意がないときであっても、当事者が自白を撤回することができることがありますか。
学生:オ 当事者は、相手方の同意がない場合であっても、自白した事実が真実に適合しないこと及び自白が錯誤によることを証明したときは、自白を撤回することができます。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解2アオ
解説
アとオが正しく、イ・ウ・エは判例や自白の成立場面と違う
裁判上の自白(相手方が主張する自分に不利益な事実を、口頭弁論などで認める陳述)の拘束力・成立場面・撤回について、判例の考え方で判断する問題です。
アは正しい記述です。判例は、自白の拘束力が及ぶのは主要事実であり、間接事実についての自白は裁判所も当事者も拘束しないとしています。イは誤りです。判例は、書証の成立の真正についての自白も裁判所を拘束しないとしています。文書が真正に成立したかは証拠の評価の前提となる補助事実にあたるためです。
ウは誤りです。弁論準備手続は争点整理のための手続ですが、その期日で主要事実を認める陳述をすれば裁判上の自白は成立します。エも誤りです。本人尋問での供述は証拠資料であって、訴訟資料である弁論としての陳述ではないため、相手方の主張に沿う内容でも裁判上の自白にはなりません。オは正しい記述です。判例は、相手方の同意がなくても、自白した事実が真実に反し、かつ自白が錯誤によることを証明すれば撤回できるとしています。
したがって、正しいのはアとオです。拘束するのは主要事実の自白だけ、成立するのは弁論の場での陳述だけ、と二つの線を引くと整理できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは正しいものの、ウが誤りです。弁論準備手続の期日も当事者が主張を述べる場なので、主要事実を認める陳述があれば裁判上の自白は成立します。
- 3イウ:イとウを選んでいますが、どちらも誤りです。書証の成立の真正は補助事実で拘束力は生じず、弁論準備手続の期日でも主要事実の自白は成立します。
- 4イエ:イとエの組合せです。書証の成立の真正の自白は裁判所を縛りません。また本人尋問の供述は証拠調べの結果であり、弁論としての陳述ではないので自白にあたりません。
- 5エオ:オは撤回の要件として正しいですが、エが誤りです。当事者本人の供述は証拠として扱われるもので、相手方の主張を認める内容でも裁判上の自白は成立しません。
出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問2(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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