令和6年度 午後の部 問4
民事訴訟法
和解に関する問題
裁判によらない訴訟の完結に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 請求の放棄は、書面でしなければならない。
イ 請求の認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
ウ 当事者間における訴えの取下げに関する裁判外の合意の成立が証拠上認められるときは、訴えの取下げがあったものとみなされる。
エ 裁判所は、口頭弁論を終結した後判決の言渡しまでの間に和解を試みるときは、口頭弁論を再開しなければならない。
オ 裁判所が当事者の共同の申立てにより事件の解決のために適当な和解条項を定めるときは、その和解条項の定めは、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日における告知その他相当と認める方法による告知によってする。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イウ
- 4イオ
- 5エオ
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✓ これが正解4イオ
解説
イとオが正しい。放棄は書面に限らず、取下げ合意は却下で終わる
判決によらずに訴訟が終わる場面(請求の放棄・認諾、訴えの取下げ、和解)について、民事訴訟法の規定と判例で判断します。
アは誤りです。請求の放棄は口頭弁論などの期日において口頭ですることが基本で、書面でしなければならないという決まりはありません。書面を出して欠席した場合に陳述したものとみなす扱いがあるだけです。イは正しく、出題当時の同法第267条により、請求の認諾を調書に記載したときは、その記載は確定判決と同一の効力を有します。ウは誤りです。判例は、訴えを取り下げるという裁判外の合意が証拠上認められるときは、原告はその訴えを続ける利益を失ったものとして訴えを却下すべきだとしています。訴えの取下げがあったものとみなされるわけではありません。エは誤りです。裁判所は訴訟がどの程度に進んでいても和解を試みることができ、口頭弁論の終結後でも、和解を試みるために弁論を再開する必要はありません。オは正しく、同法第265条第3項は、裁判所が定める和解条項の定めは、口頭弁論等の期日(口頭弁論・弁論準備手続・和解の期日)における告知その他相当と認める方法による告知によってすると定めています。
したがって正しいのはイとオで、イとオを選ぶ組合せが正解です。
取下げの合意は訴えの利益の問題として却下で終わる、と結論の形まで覚えておくと、みなし取下げの言い回しに惑わされません。
出題当時は調書への記載が効力の基準でした。現在は令和4年の民事訴訟法改正(令和8年5月21日施行の部分)により、裁判所書記官が電子調書を作成しファイルに記録したときにその記録が確定判決と同一の効力を有する形に改められていますが、記述の正誤は変わりません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは放棄を書面に限る点で誤りです。ウも、裁判外の取下げ合意があれば取下げがあったとみなすとする点で、判例の結論(訴えの却下)と違います。
- 2アエ:アは放棄に書面を要求する点で、エは終結後の和解に弁論の再開を求める点で誤りです。和解はどの段階でも試みることができます。
- 3イウ:イは認諾調書の効力として正しいものの、ウは誤りです。判例は取下げ合意があれば訴えを却下するとしており、取下げの擬制とはしていません。
- 5エオ:エを選んでいる点が問題です。審理を締めくくった後でも、裁判官はそのまま和解の席を設けられ、いったん審理を開き直す手順を踏む必要はありません。
出典:令和6年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問4(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
同じ用語が出る問題
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