令和5年度 午後の部 問3
民事訴訟法
訴訟費用に関する問題
次の対話は、訴訟費用に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
教授: 裁判所は、当事者の申立てがない場合であっても、事件を完結する裁判において、訴訟費用の負担の裁判をしなければなりませんか。
学生:ア 裁判所は、当事者の申立てがない場合には、訴訟費用の負担の裁判をする必要はありません。
教授: 民事訴訟法上、訴訟費用の負担の原則については、どのように定められていますか。
学生:イ 訴訟費用は敗訴の当事者の負担とすると定められています。
教授: それでは、原告の請求のうち一部は認容されたが、一部は棄却された場合に、訴訟費用の全部を被告に負担させることはできますか。
学生:ウ その訴訟における具体的な事情にかかわらず、一部しか敗訴していない被告に、訴訟費用の全部を負担させることはできません。
教授: 次に、当事者が裁判所において和解をした場合において、訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、訴訟費用の負担はどうなりますか。
学生:エ この場合の訴訟費用は、当事者の各自が負担することになります。
教授: 最後に、当事者は、裁判所がした訴訟費用の負担の裁判に対して、独立して不服を申し立てることはできますか。
学生:オ 訴訟費用の負担の裁判に不服がある者は、その裁判について即時抗告をすることができます。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
答えと解説を見る
✓ これが正解4イエ
解説
イとエが正しく、ア・ウ・オは費用負担の条文と違う
訴訟費用は、民事訴訟法の訴訟費用の負担の原則(敗訴者負担)、一部敗訴の場合の扱い、和解の場合の扱い、職権による負担の裁判、不服申立ての制限の規定で判断します。
アは誤りです。裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部についてその負担の裁判をしなければならないので、当事者の申立ては要りません。イは正しく、訴訟費用は敗訴の当事者の負担とするのが原則です。ウは誤りです。一部敗訴の場合の各当事者の負担は裁判所が裁量で定め、事情により当事者の一方に訴訟費用の全部を負担させることもできます。エは正しく、裁判所で和解をして訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、各自が負担します。オは誤りです。訴訟費用の負担の裁判に対しては独立して控訴をすることができず、本案の裁判とあわせて争うことになるため、それだけを取り出して即時抗告で争うこともできません。
したがって正しいのはイとエです。費用の裁判は職権でする、敗訴者負担が原則、単独では争えない、という3点をまとめて覚えると判断が速くなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アとウはどちらも誤りです。費用負担の裁判は申立てがなくても裁判所が職権で必ずするものであり、一部敗訴でも事情によっては被告に全部の費用を負わせることが許されます。
- 2アオ:アとオはともに誤りです。負担の裁判は当事者の申立てを待たずに職権でされます。また費用負担の裁判だけを独立して上級審で争うことは認められていません。
- 3イウ:イは正しいのですが、ウが誤りです。一部認容・一部棄却の場合でも、裁判所は具体的な事情を考慮して一方の当事者に費用の全部を負担させることができるので、全部負担は不可能とは言えません。
- 5エオ:エは正しいものの、オが誤りです。費用負担の裁判に対しては独立した不服申立てが制限されており、本案と切り離して即時抗告で争うことはできません。
出典:令和5年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問3(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)