令和5年度 午後の部 問1
民事訴訟法
応訴管轄に関する問題
民事訴訟における管轄に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出せずに、訴訟要件が欠けることを理由として訴えの却下を求めた場合には、応訴管轄が生ずる。
イ 裁判所の管轄は、口頭弁論終結の時を標準として定める。
ウ 裁判所は、管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる。
エ 不動産の売買契約に基づく売買代金の支払を求める訴えは、不動産に関する訴えとして、不動産の所在地を管轄する裁判所に提起することができる。
オ 簡易裁判所に提起された貸金100万円の返還を求める本訴に対し、被告が適法な反訴により地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、本訴原告(反訴被告)の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5ウオ
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✓ これが正解5ウオ
解説
ウとオが正しく、ア・イ・エは応訴管轄等の要件と違う
管轄の問題は、民事訴訟法の応訴管轄、管轄の標準時、管轄に関する職権証拠調べ、不動産に関する訴えの特別裁判籍、反訴の提起に基づく移送の各規定で判断します。
アは誤りです。応訴管轄は、被告が管轄違いの抗弁を提出しないで本案について弁論をしたときに生じます。訴訟要件が欠けるとして訴えの却下を求めるのは本案の弁論ではないので、応訴管轄は生じません。イも誤りです。裁判所の管轄は訴えの提起の時を標準として定めると規定されており、口頭弁論終結の時ではありません。ウは正しく、裁判所は管轄に関する事項について職権で証拠調べをすることができます。エは誤りです。不動産に関する訴えとは不動産上の権利そのものに関する訴えを指し、売買代金の支払を求める訴えは金銭の請求なので、これに当たりません。オは正しく、簡易裁判所の本訴に対して被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合、相手方の申立てがあれば、簡易裁判所は決定で本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければなりません。
したがって正しいのはウとオです。応訴管轄は本案の弁論が要件、管轄の基準時は訴え提起の時、と2つの時点をセットで覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アエ:アとエを選ぶ組合せですが、どちらも誤りです。却下を求める陳述は本案の弁論ではなく応訴管轄を生じさせず、代金の支払請求は不動産上の権利を争う訴えではありません。
- 2アオ:オは正しいものの、アを含む点が誤りです。訴訟要件の欠缺を理由とする却下の申立ては本案についての弁論にならないため、被告がそうしただけでは管轄権は生じません。
- 3イウ:ウは正しいですが、イが誤りです。管轄の有無を判断する基準となるのは訴えを提起した時点であり、審理の最後である口頭弁論終結時ではありません。
- 4イエ:イとエの組合せは両方とも誤りです。管轄の基準時は訴え提起の時であり、また金銭の支払を求める訴えは、売買の目的物が不動産でも不動産所在地の特別裁判籍の対象になりません。
出典:令和5年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問1(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
同じ用語が出る問題
- 令和8年度 午後の部 問3:文書提出命令に関する問題(証拠)
- 令和7年度 午後の部 問3:民事訴訟法に関する問題(証拠)
- 令和6年度 午後の部 問4:和解に関する問題(証拠)
- 令和5年度 午前の部 問26:刑法に関する問題(証拠)
- 令和5年度 午後の部 問2:通常共同訴訟に関する問題(証拠)
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