令和7年度 午前の部 問22
民法
配偶者居住権に関する問題
Aは、配偶者Bと甲建物に居住していたが死亡した。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ただし、アを除き、甲建物をAが単独で所有していたものとする。
ア 甲建物をA及びBが共有していた場合であっても、Bは、遺産の分割によって甲建物の配偶者居住権を取得することができる。
イ 遺産の分割によって、Bが甲建物の配偶者居住権を、Aの子Cが甲建物の所有権をそれぞれ取得した場合には、Cは、Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
ウ 配偶者居住権を取得したBは、甲建物を使用する必要がなくなったときは、甲建物の所有者の承諾を得ることなく、甲建物を第三者に賃貸して賃料収入を得ることができる。
エ 配偶者居住権を取得したBは、甲建物のうち従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することはできない。
オ 配偶者居住権を取得したBが善良な管理者の注意を怠って居住建物の使用又は収益をしたことによって生じた損害の賠償は、甲建物の所有者がBから甲建物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
- 1アイ
- 2アオ
- 3イエ
- 4ウエ
- 5ウオ
答えと解説を見る
✓ これが正解4ウエ
解説
ウとエが誤り。第三者への賃貸は承諾が必要、居住部分は広げられる
配偶者居住権について、民法第1028条以下の規定で判断する問題です。配偶者居住権は、被相続人の配偶者が相続開始時に居住していた建物の全部を無償で使用・収益できる権利です。
アについて、第1028条第1項ただし書は、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合には配偶者居住権を取得できないとしています。甲建物の共有者はAと配偶者Bなので、このただし書に当たらず、Bは遺産の分割で配偶者居住権を取得できます。アは正しい記述です。イについて、第1031条第1項は、居住建物の所有者は配偶者に対し配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負うと定めており、イは正しい記述です。
ウについて、第1032条第3項は、配偶者は居住建物の所有者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用または収益をさせることができないとしています。承諾なしに第三者に賃貸できるとするウは誤りです。エについて、第1032条第1項は、配偶者は従前の用法に従い善良な管理者の注意をもって使用・収益をしなければならないとしつつ、ただし書で、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げないとしています。エは誤りです。オについて、第1036条は配偶者居住権に第600条を準用しており、第600条第1項は、契約の本旨に反する使用収益によって生じた損害の賠償は貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないとしています。オは正しい記述です。したがって、ウとエの組合せが正解です。
配偶者居住権は住み続けるための無償の権利なので、居住の範囲は広げられても第三者に貸すには所有者の承諾が要る、と目的から押さえましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは配偶者との共有なら配偶者居住権を取得できるという記述、イは所有者が設定の登記を備えさせる義務を負うという記述で、どちらも条文どおりの正しいものです。
- 2アオ:アは共有の相手が配偶者以外の場合だけを除く第1028条第1項ただし書を正しく述べ、オは損害賠償の請求期間を1年とする準用規定どおりで、どちらも誤りではありません。
- 3イエ:エは使っていなかった部分を居住に使えないとする誤りですが、イは居住建物の所有者が設定の登記を備えさせる義務を負うという正しい記述です。イではなくウを選びます。
- 5ウオ:ウは所有者の承諾なく第三者に賃貸できるとする誤りですが、オは損害賠償を返還を受けた時から1年以内に請求するという正しい記述です。オではなくエと組み合わせます。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問22(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)