令和7年度 午前の部 問21
民法
相続に関する問題
相続の承認及び放棄に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続の承認又は放棄をすべき期間を伸長することができる。
イ Aの相続人Bが相続の承認又は放棄をしないで死亡した場合には、Bの相続人Cは、Bに係る相続の開始があったことを知った時から3か月が経過しているときであっても、Aの相続人としての地位を自己が承継した事実を知った時から3か月以内は、Aに係る相続について承認又は放棄をすることができる。
ウ 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内は、既にした相続の放棄を撤回することができる。
エ 相続人が相続財産を処分した場合において、当該相続人がその処分時に被相続人が死亡したことを確実に予想していたが、被相続人が死亡したことを知らなかったときは、単純承認をしたものとはみなされない。
オ 被相続人Aの子Bが相続の放棄をした場合には、Bの子Cは、Aの相続人とならない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5エオ
答えと解説を見る
✓ これが正解4ウエ
解説
ウとエが誤り。放棄は撤回できず、死亡を確実に予想した処分は承認
相続の承認と放棄について、民法の条文と判例で判断する問題です。
アについて、民法第915条第1項ただし書は、相続の承認または放棄をすべき3か月の期間は、利害関係人または検察官の請求によって家庭裁判所において伸長することができるとしています。アは正しい記述です。イについて、第916条は、相続人が承認または放棄をしないで死亡したときは、その期間はその者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算すると定めています。判例は、この時を、再転相続人が前の相続人からの相続の開始を知っただけでなく、前の被相続人の相続人としての地位を自己が承継した事実を知った時をいうとしています。イは正しい記述です。
ウについて、第919条第1項は、相続の承認及び放棄は第915条第1項の期間内でも撤回することができないと定めています。ウは誤りです。エについて、第921条第1号は、相続人が相続財産を処分したときは単純承認をしたものとみなすとしています。判例は、この規定が適用されるのは、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら処分したか、少なくとも被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえて処分した場合としています。死亡を確実に予想していたのであれば単純承認とみなされるので、エは誤りです。オについて、第887条第2項は、代襲相続の原因を相続開始以前の死亡、相続欠格、廃除に限っており、相続の放棄は含まれていません。Bの子Cは代襲相続人とならず、オは正しい記述です。したがって、ウとエの組合せが正解です。
代襲の原因は死亡・欠格・廃除の三つで放棄は入らない、と数で覚えておくと迷いません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは利害関係人または検察官の請求による期間の伸長、イは再転相続での熟慮期間の起算点を述べたもので、どちらも条文と判例どおりの正しい記述です。
- 2アウ:ウは期間内なら放棄を撤回できるとする誤りですが、アは家庭裁判所が熟慮期間を伸長できるという第915条第1項ただし書どおりの正しい記述です。アではなくエと組み合わせます。
- 3イオ:イは再転相続人の熟慮期間に関する判例どおりの記述、オは相続の放棄が代襲相続の原因にならないという記述で、どちらも正しく、誤りを含みません。
- 5エオ:エは死亡を確実に予想しながら処分しても単純承認とならないとする誤りですが、オは放棄した子の子が代襲相続人とならないという正しい記述です。オではなくウを選びます。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問21(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)