令和8年度 午前の部 問22
民法
相続に関する問題
AB夫婦間には子Cがいる。Aが死亡した場合の相続人に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア Cは、Aが死亡した当時は胎児であったが、その後、出生した。この場合には、Cは、Aの相続人とはならない。
イ Cは、Dと婚姻している。Cが死亡した後、Aが死亡した。この場合には、Dは、Cを代襲してAの相続人となる。
ウ Cには子Eがいる。Cは、相続により利益を得ようと考えてAを殺害し、刑に処せられた。この場合には、Cは、Aの相続人となることはできないが、Eは、Cを代襲してAの相続人となる。
エ Aが死亡した後、Cは、Aの遺言書を破棄した。この場合には、遺言書を破棄した行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったとしても、Cは、Aの相続人となることができない。
オ Aが死亡した後、Aの遺言により、CをAの推定相続人から廃除する旨の審判がされ、この審判が確定した。この場合には、Cは、Aの死亡の時に遡ってAの相続人ではなくなる。
- 1アイ
- 2アエ
- 3イウ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解4ウオ
解説
ウとオが正しい。欠格者の子は代襲でき、遺言廃除は死亡時に遡る
相続人の範囲、代襲相続、相続欠格、推定相続人の廃除について、民法の条文と判例で判断する問題です。
アについて、民法第886条第1項は、胎児は相続については既に生まれたものとみなすと定めています。生きて生まれたCはAの相続人になるので、アは誤りです。イについて、民法第887条第2項は、代襲相続人を被相続人の子の子に限っています。子Cの配偶者Dは代襲相続人になれないので、イは誤りです。ウについて、民法第891条第1号は、故意に被相続人を死亡するに至らせ刑に処せられた者を相続人の欠格事由としています。Cは相続人となれませんが、第887条第2項は欠格によって相続権を失った場合にもその子が代襲すると定めているので、EはCを代襲して相続人となります。ウは正しい記述です。
エについて、民法第891条第5号は遺言書の破棄を欠格事由としていますが、判例は、相続に関して不当な利益を目的としない破棄・隠匿は欠格事由に当たらないとしています。不当な利益目的でなくても欠格になるとするエは誤りです。オについて、民法第893条は、遺言による推定相続人の廃除は被相続人の死亡の時にさかのぼって効力を生ずると定めています。オは正しい記述です。したがって、ウとオの組合せが正解です。
代襲は死亡・欠格・廃除の三つで起き、相続放棄では起きない、と原因を三つに絞って覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは生まれた胎児が相続人とならないとする点、イは子の配偶者が代襲相続できるとする点で、どちらも条文と違う記述です。代襲相続人は被相続人の直系卑属に限られます。
- 2アエ:アもエも誤りです。Aの死亡時にお腹にいたCも無事に生まれれば相続できますし、自分が得をするつもりのない遺言書の破棄だけでは、Cが相続する資格を失うことはありません。
- 3イウ:ウは欠格者の子による代襲を認める正しい記述ですが、イは誤りです。子の配偶者は被相続人の直系卑属ではないので、子を代襲して相続人になることはありません。
- 5エオ:オは遺言による廃除が死亡時に遡ることを述べた正しい記述ですが、エは誤りです。相続に関して不当な利益を目的としない遺言書の破棄は、判例上欠格事由に当たりません。
出典:令和8年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問22(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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