令和6年度 午前の部 問10
民法
地役権に関する問題
地役権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア A所有の甲土地にB所有の乙土地のための地役権が設定され、その後、BがCに乙土地を売却し、その旨の登記がされた場合には、Cは、Aに対し、甲土地の地役権を主張することができる。
イ A所有の甲土地にB所有の乙土地のための通行地役権が設定され、その後、AがCに甲土地を売却した場合において、その売却の時に、甲土地がBによって継続的に使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、Cがそのことを認識することが可能であったとしても、Cが通行地役権が設定されていることを知らなかったときは、Bは、地役権の設定の登記がなければ、Cに対し、甲土地の通行地役権を主張することができない。
ウ A所有の甲土地に、B、C及びDが共有する乙土地のための地役権が設定されている場合には、Bは、乙土地の自己の持分につき、当該地役権を消滅させることができない。
エ A所有の甲土地にB所有の乙土地上の丙建物からの眺望を確保するための地役権が設定されている場合において、Bが乙土地のうち丙建物が存しない部分をCに譲渡したときは、当該地役権は、Cが取得した土地のためにも存続する。
オ Aが、B所有の甲土地の地中に通された送水管を使用して、外形上認識し得ない形でA所有の乙土地への引水を継続して行っていた場合には、Aは、乙土地のための甲土地の引水地役権を時効によって取得することができない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イエ
- 4ウオ
- 5エオ
答えと解説を見る
✓ これが正解3イエ
解説
イとエが誤り。見て分かる通路は未登記でも対抗でき、眺望は一部のみ
地役権について、要役地の移転に伴う移転、通行地役権と登記、共有と不可分性、土地の一部の譲渡、時効取得の要件を確かめる問題です。誤っているものを選びます。
アは正しい記述です。地役権は要役地の所有権に従たるものとして所有権とともに移転するので、要役地の譲受人は、要役地の所有権移転の登記があれば、承役地の所有者に地役権を主張できます。ウも正しい記述です。民法第282条第1項は、土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために存する地役権を消滅させることができないと定めています(不可分性)。オも正しい記述です。民法第283条は、地役権は継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り時効によって取得できるとしています。地中の送水管で外から見えない引水はこれに当たりません。
イは誤りです。判例は、承役地の譲渡の時に、承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、譲受人がそれを認識可能であったときは、譲受人は地役権の設定を知らなくても、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないとしています。したがってBは登記がなくても主張できます。エも誤りです。民法第282条第2項は、土地の一部の譲渡の場合に地役権はその各部のために存するとしつつ、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは例外としています。丙建物からの眺望のための地役権は丙建物が存する部分にのみ関するので、Cが取得した部分のためには存続しません。
したがって誤っているのはイとエです。通行地役権は見て分かる通路なら未登記でも譲受人に主張できる、と判例の要件を物理的状況と認識可能性の二つで覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:イは通路の使用が客観的に明らかで認識可能だった譲受人にも登記を要求する点で誤りですが、アの要役地の譲受人が登記を備えて地役権を主張できることは正しいので合いません。
- 2アウ:アとウはどちらも正しい記述です。地役権は要役地の所有権に伴って移転し、要役地の共有者の一人が自分の持分についてだけ地役権を消滅させることはできません。
- 4ウオ:ウの不可分性とオの時効取得の要件は、どちらも条文どおりの正しい記述です。地中の見えない送水管による引水は、外形上認識できる行使に当たりません。
- 5エオ:エは眺望のための地役権が建物のない部分の譲受人のためにも存続するとする点で誤りですが、オの外形上認識できない引水では時効取得できないという記述は正しいため、この組合せは合いません。
出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問10(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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