令和4年度 午前の部 問16
民法
債権に関する問題
多数当事者の債権及び債務に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 各連帯債権者は、全ての債権者のために全部の履行を請求することができる。
イ 連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は弁済をしたものとみなされる。
ウ 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者が相殺を援用することができる。
エ 当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担する場合において、連帯債務者の一人が弁済をしたときは、その連帯債務者は、その弁済額が自己の負担部分を超えていなければ、他の連帯債務者に対して求償することはできない。
オ 連帯債務者の一人に対して債務の免除がされた後、他の連帯債務者が債務の全額を弁済したときは、債務の免除を受けた連帯債務者は、債務の免除を受けたことを理由に、求償を拒むことはできない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イオ
- 5ウエ
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✓ これが正解5ウエ
解説
ウとエが誤りで、相殺の扱いと求償の要件が条文と違います。
平成29年の民法改正で整理された連帯債権・連帯債務のルールを、条文の文言で判断する問題です。
アは正しい記述です。民法は、各連帯債権者が全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求でき、債務者は全ての債権者のために各連帯債権者に履行できると定めています。イも正しく、連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は弁済をしたものとみなされます。オも正しく、民法第445条は、連帯債務者の一人に対して債務の免除がされた場合でも、他の連帯債務者はその一人に対して第442条第1項の求償権を行使できるとしています。免除を受けた者も、負担部分に応じた求償は拒めません。
ウは誤りです。改正前は他の連帯債務者が相殺を援用できるとされていましたが、民法第439条第2項は、債権をもつ連帯債務者が相殺を援用しない間は、その者の負担部分の限度で、他の連帯債務者は債権者に対して債務の履行を拒むことができると定めています。他人の債権で相殺までできるのではなく、履行の拒絶にとどまります。エも誤りで、民法第442条第1項は、弁済をした連帯債務者は、免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対して各自の負担部分に応じた額の求償権をもつとしています。
したがって、誤っているものはウとエです。改正後は、他人の反対債権では履行拒絶まで、一部の弁済でも負担割合で求償できる、と改正点を対にして覚えると整理できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アエ:エの誤りは捉えていますが、アを誤りとした点が違います。連帯債権者はそれぞれ全ての債権者のために全部の履行を請求できるので、アは正しい記述です。
- 2アオ:アとオはどちらも正しい記述です。各連帯債権者は全部の履行を請求でき、免除を受けた連帯債務者も他の連帯債務者からの求償を拒めないので、誤りの組合せになりません。
- 3イウ:ウの誤りは捉えていますが、イを誤りとした点が違います。連帯債権者の一人と債務者の間で混同が生じれば、債務者は弁済したものとみなされるので、イは正しい記述です。
- 4イオ:イとオはどちらも正しい記述です。混同があれば債務者は弁済したものとみなされ、免除を受けた者も全額を払った他の連帯債務者からの求償には応じなければなりません。
出典:令和4年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問16(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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