令和6年度 午前の部 問9
民法
共有に関する問題
共有物の分割に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 共有者は、共有物について、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができる。
イ 共有者は、他の共有者が所在不明であることにより、共有物の分割についての協議をすることができない場合には、裁判所に共有物の分割を請求することができる。
ウ 裁判所は、共有物の現物を分割する方法により共有物を分割することができない場合に限り、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により共有物の分割を命ずることができる。
エ 甲土地を所有していたAが死亡し、B及びCがAを相続した場合において、甲土地の分割についてBC間で協議が調わないときは、B又はCは、遺産分割の審判を申し立てずに、共有物分割の訴えを提起することができる。
オ A及びBが共有する甲土地について抵当権を有するCは、甲土地の分割に参加することができる。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5エオ
答えと解説を見る
✓ これが正解4ウエ
解説
ウとエが誤り。賠償分割は現物分割と並ぶ方法、遺産は遺産分割で
共有物の分割について、令和3年の民法改正で整えられた裁判による分割の規定(民法第258条・第258条の2)を中心に確かめる問題です。誤っているものを選びます。
アは正しい記述です。各共有者はいつでも分割を請求できるのが原則ですが、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができます。イも正しい記述です。民法第258条第1項は、共有者間に協議が調わないときだけでなく、協議をすることができないときにも、分割を裁判所に請求できると定めています。所在不明の共有者がいて協議ができない場合も含まれます。オも正しい記述です。共有物について権利を有する者(抵当権者など)や各共有者の債権者は、自己の費用で分割に参加することができるとされています。
ウは誤りです。民法第258条第2項は、裁判所が命じることのできる分割方法として、現物を分割する方法と、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法(いわゆる賠償分割)を並べて定めています。賠償分割は現物分割ができない場合に限られません。これらの方法で分割できないときなどに競売を命じる、という順序です(同条第3項)。エも誤りです。民法第258条の2第1項により、共有物の全部又はその持分が相続財産に属し、共同相続人間で遺産の分割をすべきときは、共有物分割の手続による分割はできず、遺産分割の手続によることになります。
したがって誤っているのはウとエです。現物分割と賠償分割は横並び、競売は最後の手段、相続財産の共有は原則として遺産分割、と三段で覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイはどちらも正しい記述です。5年以内の不分割の契約は認められ、所在不明者がいて協議ができない場合も、裁判所に分割を求めることができます。
- 2アウ:ウは賠償分割を現物分割ができない場合に限る点で誤りですが、アの5年を超えない期間の分割禁止の契約は認められているので、アを誤りとする点が違います。
- 3イオ:イとオはどちらも条文に沿う正しい記述です。協議ができないときも裁判所に請求でき、抵当権者のように共有物に権利を持つ者は自己の費用で分割に参加できます。
- 5エオ:エは遺産分割をすべき相続財産の共有物について共有物分割の訴えを認める点で誤りですが、オの抵当権者による分割への参加は認められているため、オを誤りとする点が合いません。
出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問9(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)