令和5年度 午前の部 問15
民法
根抵当権に関する問題
根抵当権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 根抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その根抵当権を行使することができる。
イ 根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更した場合において、元本の確定前にその変更について登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなされる。
ウ 根抵当権者は、元本の確定前において、同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその根抵当権又はその順位を譲渡し、又は放棄することができる。
エ 根抵当権者が破産手続開始の決定を受けたときは、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
オ 他人の債務を担保するため根抵当権を設定した者は、元本の確定後において現に存する債務の額がその根抵当権の極度額を超えるときは、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5エオ
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✓ これが正解3イオ
解説
イは変更の登記、オは消滅請求で正しく、ア・ウ・エは条文と違う
根抵当権(一定の範囲に属する不特定の債権を極度額まで担保する抵当権)について、民法第398条の2以下の規定で判断します。正しいものを2つ選びます。
アは誤りです。普通の抵当権には利息などを最後の2年分に限る規定がありますが、民法第398条の3第1項は、根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できると定めています。根抵当権では極度額が上限になるので、2年分の制限はかかりません。
イは正しい記述です。第398条の4第3項は、担保すべき債権の範囲などの変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなすと定めています。
ウは誤りです。第398条の11第1項は、元本の確定前においては、根抵当権者は第376条第1項の規定による根抵当権の処分をすることができないと定めています。順位の譲渡や放棄などはこの処分に当たるので、元本確定前にはできません(転抵当は例外として認められています)。
エも誤りです。第398条の20第1項第4号で元本が確定するのは、債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたときです。根抵当権者の破産は確定事由に挙げられていません。
オは正しい記述です。第398条の22第1項は、元本の確定後に現に存する債務の額が極度額を超えるときは、他人の債務を担保するため根抵当権を設定した者(物上保証人)などは、極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、根抵当権の消滅請求をすることができると定めています。
したがって、イとオを選ぶ組合せが正解です。破産で元本が確定するのは債務者と設定者の側だけ、と当事者を確かめる習慣をつけると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイを選ぶ組合せです。イは確定前に登記しない変更はなかったものとみなす第398条の4第3項どおりで正しいのですが、アは極度額まで全部を担保する根抵当権に2年分の制限を当てはめていて誤りです。
- 2アウ:アとウを選ぶ組合せですが、アは利息の2年分制限を根抵当権に持ち込んでおり、ウは元本確定前にできない順位の譲渡・放棄を認めているので、どちらも条文と食い違います。
- 4ウエ:ウとエを選ぶ組合せです。元本確定前の順位の処分を認めるウも、根抵当権者の破産を確定事由とするエも、第398条の11と第398条の20の内容と合わず、正しい記述が含まれません。
- 5エオ:エとオを選ぶ組合せです。オは物上保証人が極度額相当額を払って消滅請求できる点で正しいものの、エは破産手続開始で確定する者を根抵当権者としていて、債務者又は設定者とする条文と違います。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問15(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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