令和7年度 午前の部 問13
民法
質権に関する問題
権利質に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 地上権及び永小作権も、質権の目的とすることができる。
イ 質権者は、被担保債権である金銭債権及び質権の目的である金銭債権の弁済期がいずれも到来したときは、被担保債権の額にかかわらず、質権の目的である金銭債権の全額を取り立てることができる。
ウ 同一の債権について数個の質権が設定された場合には、その質権の順位は、設定の前後による。
エ 質権設定者は、被担保債権の弁済期の到来前であっても、質権の目的である債権を自働債権として相殺をすることはできない。
オ 現に発生していない債権も、質権の目的とすることができる。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解3イウ
解説
イとウが誤り。取立ては自己の債権額まで、順位は対抗要件の先後
権利質について、民法の質権の規定と判例で判断する問題です。
アについて、民法第362条第1項は、質権は財産権をその目的とすることができるとしています。地上権や永小作権も譲渡できる財産権なので、質権の目的とすることができ、アは正しい記述です。イについて、第366条第1項は質権者が質権の目的である債権を直接に取り立てられるとしつつ、第2項で、債権の目的物が金銭であるときは自己の債権額に対応する部分に限り取り立てられると定めています。被担保債権の額にかかわらず全額を取り立てられるとするイは誤りです。
ウについて、同一の動産に数個の質権が設定されたときは設定の前後で順位が決まるとする第355条は、動産質の規定です。債権を目的とする質権の順位は、債権譲渡と同じく第三債務者その他の第三者に対する対抗要件を備えた前後によって決まると解されています。設定の前後によるとするウは誤りです。エについて、判例は、債権に質権を設定した者は、質入れした債権を取り立てたり相殺したりしてその債権を消滅させることはできないとしています。エは正しい記述です。オについて、将来発生する債権も譲渡でき、質権の目的とすることができると解されているので、オは正しい記述です。したがって、イとウの組合せが正解です。
金銭債権の質権者が取り立てられるのは自分の債権額まで、順位は対抗要件の先後、と動産質との違いを意識して押さえましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:ウは債権質の順位を設定の前後で決める点で誤りですが、アは地上権や永小作権も財産権として質権の目的にできるという正しい記述です。アではなくイと組み合わせます。
- 2アオ:アは地上権・永小作権の質入れ、オは将来の債権の質入れを認める記述で、どちらも正しいものです。誤っているのは、全額の取立てを認めるイと順位を設定順とするウです。
- 4イエ:イは金銭債権の全額を取り立てられるとする点で誤りですが、エは質権設定者が質入れした債権で相殺できないという判例どおりの正しい記述です。エではなくウを選びます。
- 5エオ:エは質入れ債権による相殺の制限、オは将来債権の質入れを述べたもので、どちらも正しい記述です。誤っている記述を一つも含んでいません。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問13(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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