令和5年度 午前の部 問4
民法
成年被後見人に関する問題
後見、保佐及び補助に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 成年被後見人が成年後見人の同意を得てした不動産の取得を目的とする売買契約は、行為能力の制限を理由として取り消すことができない。
イ 成年被後見人が養子縁組をするには、成年後見人の同意を得ることを要しない。
ウ 保佐人は、保佐開始の審判により、被保佐人の財産に関する法律行為について被保佐人を代表する。
エ 保佐開始の審判をするには、本人以外の者が請求する場合であっても、本人の同意を得ることを要しない。
オ 借財をすることについて補助人の同意を得なければならない旨の審判がない場合には、被補助人は、補助人の同意を得ることなく、借財をすることができる。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解1アウ
解説
アは同意を得ても取り消せ、ウは保佐人に当然の代理権はなく誤り
成年後見・保佐・補助という3つの制度で、本人がどこまで自分で行為できるか、保護者に何の権限があるかを民法の規定で判断します。誤っているものを2つ選びます。
アは誤りです。民法第9条は、成年被後見人の法律行為は取り消すことができる(日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く)と定めています。成年後見人には同意権がないと理解されており、同意を得てした不動産の売買であっても、行為能力の制限を理由に取り消すことができます。イは正しい記述です。養子縁組のような身分上の行為は本人の意思が重視され、民法は成年被後見人が縁組をするのに成年後見人の同意を要しないとしています。
ウは誤りです。保佐人は保佐開始の審判によって当然に代理権を持つわけではありません。代理権は、特定の法律行為について別に代理権を付与する審判があって初めて与えられます。エは正しい記述です。本人以外の者の請求で本人の同意が必要とされるのは補助開始の審判などであり、保佐開始の審判には本人の同意は要件とされていません。オも正しい記述です。民法第17条第1項の審判で補助人の同意を要するとされた行為以外は、被補助人が単独でできるので、借財について同意を要する旨の審判がなければ自由に借財できます。
したがって、アとウを選ぶ組合せが正解です。後見人は同意権なし、保佐人は代理権に別の審判が必要、補助は本人の同意が出発点、と3制度を並べて覚えると整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2アオ:アとオを選ぶ組合せです。アは誤りですが、オは正しい記述です。補助では、同意が必要な行為を家庭裁判所が個別に定めるので、借財が指定されていなければ被補助人は一人で借りられます。
- 3イウ:イとウを選ぶ組合せです。ウは保佐人に当然の代理権を認める点で誤りですが、イは縁組という身分行為に成年後見人の同意を要しないとする民法の扱いに合っており、誤りではありません。
- 4イエ:イとエを選ぶ組合せですが、縁組に後見人の同意が要らないとするイも、保佐開始の審判に本人の同意を要件としないエも、民法の規定どおりなので、両方とも正しい記述です。
- 5エオ:エとオを選ぶ組合せです。保佐開始に本人の同意が要らない点も、審判のない借財を被補助人が単独でできる点も正しく、誤りであるアとウが入っていません。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問4(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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