令和4年度 午前の部 問21
民法
後見に関する問題
成年後見監督人に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 家庭裁判所は、成年被後見人の請求がある場合には、成年後見監督人を選任しなければならない。
イ 家庭裁判所は、成年後見監督人として、法人を選任することができる。
ウ 家庭裁判所は、成年後見監督人の請求がある場合には、被後見人の財産の中から報酬を与えなければならない。
エ 成年後見人が成年後見監督人の同意を得ることなく成年被後見人に代わって金銭を借り入れる契約をした場合には、成年被後見人は、その契約を取り消すことができる。
オ 成年後見監督人は、成年後見人と成年被後見人との利益が相反する行為については、成年被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解3イエ
解説
イとエが正しく、ア・ウは裁量の規定、オは監督人自身が代理する点で誤りです。
成年後見監督人(成年後見人の事務を監督する者)の選任・報酬・同意権・利益相反の場面での役割を、民法の条文で判断する問題です。家庭裁判所の権限が、しなければならない(義務)なのか、することができる(裁量)なのかが分かれ目になります。
イは正しい記述です。民法は、後見人の選任に関する規定を後見監督人に準用しており、成年後見人と同じく法人を成年後見監督人に選任することができます。エも正しく、民法第864条は、後見人が被後見人に代わって第13条第1項各号に掲げる行為をするには、後見監督人があるときはその同意を得なければならないとしています。借財はこの各号の行為に含まれ、同意を得ずにした場合は、被後見人がその行為を取り消すことができます。
アは誤りです。民法第849条は、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人、その親族若しくは後見人の請求により又は職権で、後見監督人を選任することができるとしています。請求があれば必ず選任しなければならないわけではありません。ウも誤りで、報酬についても民法は、家庭裁判所は被後見人の財産の中から相当な報酬を与えることができると定めており、請求があっても与えるかどうかは家庭裁判所の判断です。オも誤りです。後見人と被後見人の利益が相反する行為については、成年後見監督人自身が被後見人を代表することが職務とされており、監督人がいる場合には特別代理人の選任は必要ありません。
したがって、正しいものはイとエです。後見監督人の選任も報酬も家庭裁判所の裁量(できる)、と条文の語尾まで覚えておくと、義務と取り違えにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アもウも、家庭裁判所の裁量を義務と取り違えています。監督人を選ぶのも報酬を与えるのも、必要性や相当性を見て裁判所が決めることで、請求があれば必ずそうなるわけではありません。
- 2アエ:エは正しいものの、アが入っています。成年被後見人が求めても、家庭裁判所は必要があると認めたときに後見監督人を選べるにとどまり、選ぶ義務を負うわけではありません。
- 4イオ:イは正しいものの、オが入っています。利益相反の場面では成年後見監督人自身が成年被後見人を代表するので、特別代理人の選任を家庭裁判所に求める必要はありません。
- 5ウオ:ウは報酬を必ず与えるとしている点で、オは監督人がいても特別代理人の選任を求めるとしている点で誤りです。この組合せは正しいものを含みません。
出典:令和4年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問21(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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